<W杯アジア3次予選:日本3-0タイ>◇14日◇2組◇バンコク、ラジャマンガラ・スタジアム

 勝利の喜びに浸ることはなかった。岡田監督は日本協会川淵キャプテンから突き付けられた「快勝」のノルマに、3-0の勝利で応えただけでは満足しなかった。3次予選の最終バーレーン戦(22日、埼玉)へ気持ちが緩みそうなチームを引き締める、強い決意をコメントに込めた。

 岡田監督

 あの屈辱(アウェーで0-1完封負け)は絶対忘れない。おそらく一生忘れないだろう。今度のバーレーン戦は僕のプライド、日本サッカーのプライドを懸けた戦い。どんなことがあっても勝つ。

 2日のホーム、オマーン戦に次ぐ今予選2度目の「大きなヤマ」を、アウェー初勝利で乗り越えた。それでも指揮官は試合と変わらぬ厳しい表情を最後まで崩さなかった。

 タイ戦では内容よりも勝つことに徹した。右足首に爆弾を抱える中村俊を先発に据え、出場停止のFW大久保に代えて19歳の香川をトップ下で起用し、前半から「つなぐサッカー」を実践した。

 「退路を断った」と18人のベンチ入りメンバーからパス、シュートでリズムをつくれるMF山瀬を外した。前半に得点を奪えない場合には、後半は前線へボールを送るパワープレーに徹する「覚悟」だった。「ちょっと前半飛ばしすぎたこともあって、後半バテたが、その中よく持ちこたえてくれたと思う」。結果はセットプレーが起点の全3得点だったが、指揮官の意図は選手へ確実に伝わっていた。

 キリン杯に備えた合宿開始から26日(解散1日)と疲労はピークに達していた。4日からのオマーン合宿では体調を崩したり、故障する選手も相次いだ。そんな厳しい状況にも、控えGKに回った川口が移動の空港で率先して荷物を運ぶなど、岡田ジャパン発足から約6カ月でようやく「チーム」になった実感もあった。「これでまた1つ、強くなれるのではないかと思う」。岡田監督は今後への手応えをつかみ取った。