<W杯アジア3次予選:日本1-0バーレーン>◇22日◇2組◇埼玉

 あっけないほど簡単に、拍子抜けの得点だった。それでも、岡田監督は全力でガッツポーズをつくった。これまでの12試合では見せたことがない、両手を握りしめ、まるで自分の得点のように、テクニカルエリアの最前列で激しく喜んだ。「かっこいい点じゃないですけど、あのスマートな選手が、泥臭く点を取ってくれたことがうれしかった」。試合後の会見で率直に、真剣な顔で振り返った。

 3月にバーレーンで惨敗も、すでに最終予選進出を決め、消化試合だった。それでも自身のプライドと、日本サッカーのプライドをかけ必勝を公言。けがが癒えた中村俊をフル出場させ勝利にこだわった。

 95分間ずっとベンチ内の雨にぬれない場所にいたマチャラ監督とは対照的だった。カッパ姿のコーチに指示を任せ、1日遅れで来日し、試合前日に秋葉原で買い物した敵将。岡田監督は前半4分から帽子姿で飛び出し、なりふり構わず愚直に動き続けた。だから、内田の執念のゴールが心に響いた。「監督に言われたからボールを追うのでは本当ではない。勝ちたいから追う、ボールへ飛び込む。それが少しずつ出てきた」。

 9月には最終予選が始まる。決定力不足解消への糸口は見えない。それでも岡田監督の手応えは力強い。「勝利への執着心…、腹の底にあるものを、完全ではないが少しずつ(選手は)出してきた」。不格好な得点に、岡田ジャパンの脱皮の兆しが漂っていた。