攻撃の軸は本田だ!

 日本代表MF本田圭佑(25=CSKAモスクワ)が、代表復帰戦でトップ下に入ることが濃厚になった。今日23日の親善試合アゼルバイジャン戦(静岡・エコパ)に向け、22日は試合会場で最終調整。非公開で行われた実戦練習で、トップ下に入った模様だ。ドルトムントでの香川の定位置を奪い、日本の真のエースとして6月から始まるW杯アジア最終予選に臨む。

 堂々とした雰囲気が本田の意気込みを表していた。小雨の中で行われた最終調整を終えると、真っすぐに前だけを見つめながら、取材通路を歩いていった。言葉を発することはない。アゼルバイジャン戦の後に続く、14年W杯ブラジル大会への最終関門。アジア最終予選に向け、闘志を高めているかのようだった。

 長く代表を離れても、独特の存在感は変わらない。非公開で行われた実戦練習では、トップ下に入ったという。代表戦は昨年8月10日韓国戦以来、9カ月ぶり。右膝手術を受け、苦しいリハビリ生活を送りながらも、ザッケローニ監督から受ける信頼まで不変だった。トップ下は香川がドルトムントで躍動し、欧州中に衝撃を与えた位置だ。絶好調の香川を中心に置き、本田をサイドか10年W杯南アフリカ大会と同じ1トップに置く策もあった。だがあくまでも本田が司令塔として、最後の調整試合に臨むことが濃厚になった。

 独自の理論がある。長期離脱したことは「後退」にならない。故障を現実として受け止め「進化」の過程としてとらえる。今月15日に帰国した際、いつもかたくなに口を閉ざし続けてきた本田が、本紙に語った言葉がある。

 「この9カ月は足踏みをしたとは思っていない。逆にケガをしたことが、何よりの前進になるかも知れない。そう信じている」

 失ったはずの9カ月は、この先、最高の花を咲かせるための準備期間になる。この1年、世界が認める大活躍を続けてきた香川と、表舞台に出ることなく地道に治療と体幹トレーニングを続けてきた本田-。その姿は対照的だ。2人が同時出場した国際Aマッチは過去8勝2分け。ともに欠かせない存在であることは間違いない。日本が世界を驚かせる14年W杯まであと2年。戻ってきた本田が今日、日本の中心として再び走り始める。【益子浩一】