元日本代表MF中田英寿氏(39)が8日、都内で「国際陶磁器フェスティバル美濃,17」の記者発表会に登壇した。

 3年に1度、美濃で開催される世界最大級の陶磁器の祭典に今回は中田氏が総合プロデューサーに就任した。「サッカーをやめて以来、海外に3年ほどいて、そのあと日本全国47都道府県を7年かけて回り、昨年12月に一段落終えた後、沢山の工芸現場を見た中で、これだけすばらしいもの、すばらしい人がいる。僕も回るまで知らなかったし、知らない方もまだまだいる中で何かをしたい。自分がやりたかったことの1つなので非常にうれしい」と語った。

 今まで総合プロデューサーは指名制で選出されていたが、今回は国際化やどう世界に発信していくのかというところに着眼。複数人中から点数化して最上位の中田氏が選出された。コンペティションも、今までデザインと工芸部門に分けて審査していたものを全て1つに統合。賞金も中田氏の提案でコンペティション最高額の1000万円が用意されている。

 中田氏は日本酒の普及にも尽力するなど活動は多岐にわたる。「モノはコミュニケーションを取るためのツールに過ぎない。相互理解のためのモノであるだけの話であり、そこはサッカーをやっていたときと全く変わらない」とぶれない姿勢を貫く。

 陶磁器の魅力についても「世界は速く、安く、簡単にという状況へ向かっているが、ラグジュアリーとは何かと考えたとき、『手作りのもの』が最大のラグジュアリーではないか。それを多くの人にきちんと情報を伝え、理解してもらうための努力をする。世界的にも残っている日本から発進することが大事」と説いた。

 陶磁器の世界一を決めるコンペティション。中田氏は「この賞を取ることで世界一有名になるか、世界一の賞金を取るかが世界一だと思う」。サッカー界で大きなインパクトを残してきた男が、今度は陶磁器を世界に発信していく。