スピードスケート会場でスケッチをしている男性を目にした。その絵をよく見ると、とにかく上手。周囲の観客も、興味津々で近づいてきていた。現在、ロシア・サンクトペテルブルクに住むマーク・アールさん。五輪に特化した情熱的なアーティストだという。

　アールさんはここ２０年間、冬季及び夏季五輪で描き続けている。会場内の建築の様子はもちろん、レース、選手、観客などが詳細に描き込まれている。その技術の高さから、金メダリストから仕事の依頼を受けることもあるという。過去にはスウェーデンの国王からも仕事が舞い込んだことがあるそうだ。

　ソチ五輪後は、環境問題に力を注ぐつもりでいる。「２０年後には雪がなくなってしまうかもしれない。冬季五輪が開催されなくなってしまう」と危機感を募らせているからだ。芸術家の視点から世界のスポーツの祭典を見守り続けている。【井上学】