スピード提言メダルゼロからの大改革
出身競技のスピードスケートが、2大会ぶりのメダルゼロに終わりました。残念なことですが、悲しんでいても何も始まりません。再建に向けた提言をしたいと思います。
(1)海外へ飛び出せ
スノーボードのパラレル大回転で銀メダルを獲得した竹内智香選手は23歳から5年間、スイスに活動拠点を置きました。ジャンプ団体銅メダルメンバーの竹内択選手は中学卒業後、フィンランドに単身留学しています。スピードスケートでは女子のエース小平奈緒選手が海外留学の希望を口にしましたが、まだ数は少ない。
私自身は海外が大好きでした。英語はそこまで話せませんが、外国人選手にどんどん話し掛けて、質問攻めにしてきました。五輪3連覇のボニー・ブレア選手(米国)の後ろについて、スケーティングのタイミングを盗んだこともあります。今なら1人勝ちのオランダなどのノウハウを取り入れることは重要。逆に外国人コーチを日本に招へいするのもいいでしょう。
(2)風通しの良い組織
現在の日本チームは、所属ごとにバラバラの強化をしています。所属が違う選手は関係ない。各コーチ陣にはそんな空気が漂う。これではいけない。たとえば、普段見ていないコーチから言われるアドバイスで気付くこともあります。選手もコーチも所属の枠を超え、腹を割って話せる組織にしなければいけない。個人競技とはいえ、チームの雰囲気は選手にも影響が出ます。
(3)北海道、東北、長野以外にリング設置
スピードスケート選手の出身地は北海道と東北、長野県がほとんど。他の県では滑る環境がないから無理もありません。東京生まれでも実はスケートに向いている人がいるかもしれない。例えば、フィギュアのリンクは関大、中京大などにあります。スピードも大学、国、地方自治体と協力して、関東、関西、九州などにリンクを造ることができれば、普及とジュニア育成にもつながると思います。
今の国内大会は淡々とレースが始まって終わる印象です。スタート前に選手のプロフィルを紹介したり、何位以内に入れば代表確実など現状を説明したりすれば、観客も分かりやすく、応援もしやすい。注目度を高めることは、スケートの普及につながります。
(4)国内大会のショーアップ
今回の敗因は、前回バンクーバー大会メダリストの長島選手と加藤選手頼みになったことが大きい。金メダル候補の2人を重視するあまり、他種目や他選手の底上げがおろそかになった。2人のメダル獲得が、逆に構造的な問題を隠してしまったのかもしれません。今回の惨敗を抜本的な改革のチャンスにしなければいけません。(長野五輪女子500メートル銅メダリスト)
日刊スポーツ新聞社
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