日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムのサッカーページです。



ここからこのサイトのナビゲーションです

共通メニュー

企画アーカイブズ

QAなう



松本杜氏に聞く「米」

其之壱 酒づくりは米づくりから

 杜氏写真 日本酒の旨さは「米」「水」「造り」が決める。中でも「米」は種類が多く、玉乃光酒造でも「備前雄町」「山田錦」「祝」「美山錦」など造る酒によって変わる。では、コメの種類によってどう使い分けるのか? 自らも能登輪島で米づくりをする松本杜氏に聞いた。

「そもそも酒米は、ご飯として食べる一般飯米に比べて米粒が大きいのだよ」。松本杜氏は基本から教えてくれた。飯米は「コシヒカリ」「ササニシキ」等の品種が有名だが、酒米は「山田錦(兵庫県)」「雄町(岡山県)」「五百万石(新潟県)」等が代表的な品種として挙がる。もちろん「コシヒカリ」でも酒はつくれるが、米粒が小さいため、もろくて割れやすく、高精白できない。そのため、純米大吟醸づくりには適さない。

 逆に酒米は米粒が大きいため、高精米することが可能で、甘味と酸味の調和のとれた、香り高い、純米大吟醸酒をつくることができる。また、中心部の「心白」は、よい麹づくりに欠かせないものなんだ。

収量本位の飯米に比べて、酒米は品質本位なので一反あたりの収量は多くない。従って、価格は高く、飯米の約2倍するものもある。

 酒米で有名な「山田錦」は「雄町」の孫にあたり、1923年に兵庫県で開発された。

 また、純米吟醸以上のレベルの日本酒づくりに使用できる酒米は、主として、近畿地方から西で多くつくられている。酒米は、収穫のタイミングを間違えたり、収穫した籾(もみ)を乾燥するとき急激に温度を加えると、高精米されるまでに割れてしまう。また、収穫を多くするために肥料を多く与えたり、施肥(肥料を与える)時期を間違えると、日本酒に不要なタンパク質の含有量が多くなる。

 「どの品種の酒米も窒素系の成分が少ない有機肥料等を使えばいい酒米ができる。酒造メーカーの土壌指導も浸透している」。と松本杜氏は自信を持って語る。玉乃光では土壌を改良するために、ケイ酸カルシウム等を使用する栽培方法を指導している。ケイ酸が葉に多く含まれると、細胞がレンズの役割をして、光合成の効率がよくなる。結果的に炭酸同化作用を促進して、米粒のデンプンの量が増え、米粒に含まれるタンパク質の割合が低くなり、日本酒の味がきれいになるという効果が出る。また、ケイ酸が根の活力を増大させるので、茎は強く、倒れにくくなり、収穫時まで老化しない丈夫な稲づくりができる。

 「天候と様子を見て稲の幹をしっかりしたものにして時期を逃さないように刈り取らなければならない。米作りは難しいです」。30年以上、米を作ってきた松本杜氏の言葉に実感がこもる。「作付けの密度を小さくせず、植え付けを行う。そうすれば幹が太い稲が育つのです」。作付けのバランスを保つことでよい酒米ができる。

 玉乃光酒造は「酒づくりは米づくりから、米づくりは土づくりから、土づくりは人づくりから」という理念で日本酒づくりに取り組んでいる。(続く)


日刊スポーツの購読申し込みはこちら

click here!
  1. ニッカンスポーツ・コムホーム
  2. 特集

データ提供

日本プロ野球(NPB):
日刊編集センター(編集著作)/NPB BIS(公式記録)
国内サッカー:
(株)日刊編集センター
欧州サッカー:
(株)日刊編集センター/InfostradaSports
MLB:
(株)日刊編集センター/(株)共同通信/STATS LLC

ここからフッターナビゲーションです