前週行われていた女子ゴルフの日米ツアー共催、TOTOジャパンクラシックに畑岡奈紗(17=茨城・ルネサンス高)の姿があった。選手としてではなく、1人のギャラリーとして会場に来ていた。

 観戦初日だった5日は、宮里藍(31=サントリー)とリディア・コ(19=ニュージーランド)という新旧世界NO・1が共演した組に18ホールついて歩いた。翌日は自身が米ツアー挑戦を強く意識するきっかけとなった選手であり、大会前には一緒に食事をするなど親交のあるミンジ・リー(20=オーストラリア)の組を中心に見て回ったという。

 コのアプローチに「手首の使い方とかが勉強になりました」と目を輝かせ、宮里藍のパットに「テンポがいつも一緒(で乱れない)」とうなり、世界ランク2位アリヤ・ジュタヌガーン(20=タイ)の圧倒的な飛距離に大興奮。日本女子オープンで国内メジャー初のアマチュア優勝を飾り、日本女子ツアー史上最年少でプロ転向した超新星が世界のトッププロを見て、何を感じたのか。私たち記者の関心は、そこに集中していた。本人も見て勉強したいという思いもあっての来場だっただろうし、実際に大きな刺激を受けていた。

 しかし、2日間を終えてもう1つ、強く感じたことがあったという。


 「歩くのって大変なんだ」


 ギャラリーロープの外からゴルフを見るのは、久しぶりだった。コースによって差はあるが、基本的にフェアウエーを歩く選手と違い、ギャラリーのルートは足場がいいところばかりとは限らない。傾斜がきつく、ぬれて滑りやすくなった芝の上、ぬかるみ、時に獣道のようになっている場所さえある。入場券を買い、靴が汚れるのもいとわずに歩き、選手のプレーに拍手を送る。遠方から駆けつける人も少なくない。熱心に応援してくれる存在がいてこそのプロゴルファーであると実感した。

 選手目線で学び、ギャラリー目線で体感し、自覚が芽生えた。ファンへの感謝を忘れてはいけないということ、ファンを含めた支えてくれる人たちに報いるためにも頑張る使命があること。そして、誓った。プロデビュー戦となる伊藤園レディース(11日開幕、千葉・グレートアイランドC)から、自分がそれを体現していくこと。17歳はより一層、プロの顔つきになっていた。【亀山泰宏】