いよいよ寒さが本格化してきましたね。それでも元気にゴルフしてますか? タケ小山(53)も負けずに毎日、早朝からお仕事させていただいてます。さて、火曜日朝の定番、タケ小山のゴルフ即効薬、今回のテーマは「スローダウンが悲劇を呼ぶ」です。どゆこと⁈

スローダウンが悲劇を呼ぶのだ
スローダウンが悲劇を呼ぶのだ

 「悲劇!? ゴルフで悲劇だけは勘弁してよ~」。そんな悲鳴が聞こえてきます。おっしゃる通り。でも、そう思えば思うほど、悲劇が襲いかかって来るものなんですね。ゴルフでは。

 昨年12月12日付の紙面で「ガマンと勇気のややこしい関係」というのをお届けしたのですが、覚えていますか? まだ新聞がお手元にあれば、読み返してみてください。より分かりやすくなると思います。

 悲劇が起きやすいのはそう、最終ホールなんですね。一体なぜか。スコアを意識してしまうからなんですね。最終ホールに限らず「今日はベストスコアいけるかも」「ライバルに勝てるかも」なんて思うことで、プレーのリズムが変わってしまう。これがくせものです。

 最後までいいスコアで回ろうとするあまり、プレーが丁寧になり過ぎてしまうんですね。丁寧にプレーすること自体は、決して悪いことではありません。でも“バカ丁寧”となるとどうでしょう? プレーのスピードが遅くなり、いらない情報ばかりが入ってきてしまう。これを処理しきれないまま、プレーしてしまうことになる。これが危険きわまりないんですね。それまでいいリズムで来ていたのに、無理にナイスショットしようとしてチョロしてしまったり、池が妙に視界に入り“池ポチャ”してしまったり、ひどいときにはOBをたたいてしまうようなこともあります。バカ丁寧にプレーすることでリズムが遅くなり、力が入ったり体の動きが硬くなったりしてしまったのです。

 アマチュアに限ったことではありません。アメリカでプレーしていた頃のタケ小山も嫌というほどそういう経験をしていますし、メジャーのサンデーバックナインでしばしば悲劇が起こるのはそのためです。

 読者の皆さんが覚えていらっしゃるとすれば、ジャン・バンデベルデが起こした悲劇です。カーヌスティで行われた99年全英オープン最終日、首位で最終18番を迎えたバンデベルデの3打目は、バリーバーンと呼ばれるクリークへ。ダブルボギーで勝てるのですから、冷静なら1ペナを払ってもドロップして打つところ。しかし、バリーバーンから打とうとしてトリプルボギー。プレーオフでポール・ローリーに敗れたのです。目の前のクラレットジャグを手放す何たる悲劇。すべてはプレースピードが遅くなったことで起きたと言っていいでしょう。

 みなさんも、くれぐれもご用心を!

今週の処方箋

全力疾走で突き抜けろ!

【服用法】病は回復しかけに油断すると危険。ぶり返して泥沼になることがあります。最後までお薬をしっかり飲み切ること。マラソンでも短距離レースでも同じことです。テープを切るまで油断は禁物!

 ◆タケ小山(こやま)本名・小山武明。1964年(昭39)7月7日、東京都生まれ。中大卒業後、プロゴルファーを目指して89年に渡米し、フロリダ州のゴルフ場所属プロとなる。米、カナダ、オーストラリア、アジアなどのツアーでプレー。07年に帰国し、日本ツアーに参戦。08年に早大大学院でスポーツマネジメントを学ぶ。ザ・ゴルフチャンネル、ゴルフネットワークなどでのトーナメント解説には定評がある。TBS系「サンデーモーニング」の「屋根裏のプロゴルファー」として知られる。InterFMの「Green Jacket」(土曜午前5~8時)、文化放送の「The News Masters TOKYO」(月~金曜午前7~9時)などに出演。

◆協力 ザ・インペリアルCC(茨城県稲敷市)

◆取材・構成 遠藤淳子(清流舎)

◆撮影 山崎安昭