<男子ゴルフ:米国-世界選抜対抗戦プレジデンツ杯>◇最終日◇11日◇米サンフランシスコ、ハーディングパークGC(7137ヤード、パー71)

 【サンフランシスコ=木村有三】石川遼(18=パナソニック)が世界ランク6位ケニー・ペリー(49)を破り、世界選抜で最多タイ3勝で大会を締めくくった。17番までに4バーディーを奪い、2アンド1。チームはポイント14・5-19・5で米国選抜に敗れ、大会3連敗を喫したが、グレグ・ノーマン主将は「本当に素晴らしい」と石川を絶賛。ウッズら世界の強豪たちに「Ryo

 Ishikawa」の鮮烈なインパクトを与え、最年少賞金王がかかる日本ツアー終盤戦へ、大きな弾みをつけた。

 もう誰も、日本から来た18歳の実力を疑わなかった。1アップで迎えた16番パー4。1メートルのチャンスにつけたペリーに対し、石川は先にグリーン奥カラーから7メートルのバーディーパットをねじ込んだ。世界選抜ノーマン主将は笑顔で左手を握り締め、米通算14勝のペリーはあきれて首を振る。外せば追いつかれる勝負どころで抜群の集中力を発揮。世界ランク6位の強敵を見事に撃破した。

 石川

 ペリーの方が力が上だし、何とかへばりついて最後までプレーしようと考えてた。今シーズンを象徴してるような我慢強い戦いができた。

 米メディアも注目した最年長VS最年少の「31歳差対決」で、耐えて勝機を引き寄せた。第1打を左に曲げた1番は6メートルのバーディーパットを先に沈めて分けた。2番も3メートルを沈める1パット・パー。左林に曲げた6番は木の間の約2メートルの空間を抜いてパーを拾った。マッチプレーで相手が最も嫌う「粘り」を発揮。ペリーも「あの少年は僕を引退に追いやった」とジョーク交じりに白旗を上げた。

 敗れた世界選抜にあって、3勝はエルスと並ぶチーム最多タイ。ウッズ組にしか負けなかった。主将推薦が決まった当初は、米ツアー出場6戦で予選通過2度だけの実力や、コミュニケーションが大事なチーム戦で英語力不足を不安視する声もあった。が、マーク・ラッセル大会ディレクターは「グレートな選手。早く米ツアーに来ればいいのに」と高く評価。ノーマンも「みんなの頭の中に『これがリョウか』とメモされたはずだ」というように、認知度は確実に広がった。

 「タイガーと戦えたこと以上に、プレーで勝利を収めたことは大きい。(7月の)全英のときより明らかに上達した手応えがある」。98年の同杯に初出場した丸山茂樹は、5勝を挙げて周囲をうならせ、その後に世界にはばたく足掛かりをつくった。将来的に米ツアー挑戦を視野に入れる石川にとって、今回得たものは想像以上に大きい。

 その前にまず、国内の最年少賞金王奪取だ。13日に帰国し、15日開幕の国内メジャー・日本オープンに出場する。賞金ランク2位池田とは約200万円差だが、1位の座を明け渡すつもりはない。「今週の経験はこれからの日本ツアーで生きてくる」。確信めいた言葉で締めくくった。