<男子ゴルフ:マイナビABC選手権>◇3日目◇10月31日◇兵庫・ABCGC(7217ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 大逆転での2連覇へ、石川遼(18=パナソニック)が“執念”の最終日最終組を決めた。最終18番のバーディー奪取でパープレーの72にまとめ、通算7アンダー209の3位でホールアウトするや、スタスタと早歩きでスコア提出所に向かい、同じ組で同順位だった金亨成(29)より先にアテストを済ませ、規定によって最終日最終組でプレーする“権利”を得た。6打差をつけられた首位鈴木亨(43)の目の前で猛チャージし、重圧をかける準備は完了した。

 いつもより早めの足取りで、石川がクラブハウスに引き揚げた。向かった先は、もちろんスコア提出所。同じ通算7アンダーの3位で終えた同組の金亨成より約5秒早く着き、先にスコアカードを出した。規定により、同スコアならカードを早く出した方が翌日は後方の組で回れる。報道陣から「スコアを出すのが早かった?」と問われた石川は「そうですか?」と、一瞬笑顔でとぼけたが、すぐに本音を打ち明けた。

 「終わった後に金さんがすぐカードをくれて(同組の)甲斐さんが『先に歩いて行っていいよ』と言ってくれたので、サインを確認してすぐに出しました。16番くらいから最終日最終組で回るにはどうしたらいいか考えてた。棚ぼただけど最終組で回りたかった」。

 苦しい1日のラストで奪ったバーディーが効いた。18番パー5。逆風の中、残り235ヤードから3番ウッドでピン左4メートルに2オン。イーグルこそ逃したが、しっかり2パットで収めた。大会前から目標だった“大トリ”の権利。プレーでは決められなかったが、最後は早歩きで勝ち取った。

 プロ転向後の5勝はすべて最終日最終組。「前の組から気楽に伸ばす方がいい人もいるけど、僕は最終組でトップの選手を見てプレーしたい。最終組で回ってる方が優勝の可能性が高いと思うし、気合が入りやすいですから」。首位鈴木には6打差をつけられたが、目の前でチャージし重圧をかけるつもりだ。

 昨年大会は、最終日3打差3位から69で回り逆転優勝した。ABCGCは終盤4ホールでパー5が2ホールあり、最後まで勝負がもつれやすい。98年は尾崎将が8打差を、06年は片山が4打差を逆転。勢いづいた2人は、その年賞金王に輝いた。石川も今季5勝目奪取なら、池田を抜いて賞金ランク1位に再浮上するだけに、最終日にかける思いは強い。

 この日、精度を欠いたショートアイアンもラウンド後の練習で調整。「原因はトップの位置が不安定だったこと。修正できました」と不安はない。「ここまでは順調に来た。明日はもう1つ大きな運、奇跡的なことが起これば優勝できる。目指していきたい」。大逆転の夢を、あきらめずに攻めていく。【木村有三】