最年少賞金王に輝いた石川遼(18=パナソニック)の活躍が、日本ゴルフ界のルールまで変えた。日本ゴルフツアー機構(JGTO)は7日、都内で今季各賞の表彰式を行い、石川は最優秀選手賞(賞金100万円)など9冠を獲得。03年の伊沢利光の8冠を抜く、史上最多の受賞となった。最優秀選手賞については、規定のポイント算出法では賞金ランク2位の池田勇太(23)がトップ。だが、JGTOの小泉直会長(70)は、海外での活躍なども考慮し、「超法規的措置」で石川を同賞に選んだ。

 社会現象を起こすほどの活躍が、85年の賞創設以来のルールまで変えてしまった。表彰式終了後、小泉会長は「今年の活躍を見れば、誰が考えても石川でしょう。海外でも活躍しているし、トータル的な面を加味して、私が決めた」と発言。プレジデンツ杯など、ポイントには反映されない海外での活躍も加味し、「超法規的措置」で石川を最優秀選手に選んだことを明かした。

 賞金ランク1位の石川は、平均ストローク、平均パット、バーディー率などもトップでそれぞれのタイトルを獲得。名実ともに、MVP級の活躍だったが、最優秀選手賞選出のポイント(P)計算では100Pで2位。賞金ランク2位の池田が106Pでトップだった。ともに4勝だが、国内メジャー優勝者は通常ツアーの倍の20Pが与えられる。日本プロ選手権を制した分、ポイントは池田の方が高かった。

 過去にも04年の谷口徹ら3人が、賞金王以外でも同賞を獲得しているが、今回は極めて異例。JGTOによると、「超法規的措置」は2週間前に決まった。現在は海外試合に出場する選手も多く、来年以降は海外での成績も含めた新たなポイント制を導入する方向だという。ただし今回は事前に、選出法変更のアナウンスはなく、選手たちに説明もなかった。

 JGTOの山中専務理事は「選手たちに迷惑を掛けた」と謝罪した。ポイントで上回りながら最優秀選手賞に選ばれなかった池田は、表彰式後、JGTOから事情説明を受けた。「遼は世界で活躍してるし、遼の方が上で当然と思った。(JGTO側から)大変ご迷惑を掛けたと言われたし、納得しています」と大人の対応を見せた。

 想像を超える石川の成長に、周囲は追いつくのがやっと。18歳はまた1つ、伝説をつくった。それでも、史上最多9冠を獲得した最年少賞金王は「(賞金王が)決まった瞬間から過去になった。もう過ぎ去ったこと。自分の気持ちは、もう前に向いている。余韻に浸る暇はない」と、前だけを見据えていた。【田口潤】