<男子ゴルフ:マイナビABC選手権(日刊スポーツ後援)>◇初日◇27日◇兵庫・ABCGC(7217ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 大会開幕前に女性との交際を発表した石川遼(20=パナソニック)が、2アンダー70の17位発進ながら今季最高の手応えを得た。スイング改造に取り組んでいたドライバーショットが絶好調。パットを決めきれず、首位と4打差はついたが「打てばフェアウエー」と自画自賛。08年にプロ初優勝を挙げ、その後も好成績が続く相性のいい大会。今季初Vを挙げ、逆転賞金王へ向けたラストスパートをかける。

 どんなに思いをめぐらせても、いいイメージしか浮かばない。18番パー5。石川会心のドライバーショットは、350ヤード先のフェアウエーに着弾した。残り175ヤードの第2打は9番アイアン。手前の池とピンの間、約15ヤードの狭い斜面にピタリとボールを止めた。

 8番アイアンでグリーン中央を狙う安全策は「調子がいいので、重圧があってもスイングはゆがまない」とすぐに捨てた。「久しぶりに打てばフェアウエーの感触。久しぶり過ぎて慣れてないほど」と笑う。チップインイーグルを狙う6ヤードアプローチは外れたが、楽々バーディーを挙げた。

 朝の練習場ではショットがばらついた。10番パー4では、案の定ドライバーが左に曲がった。だが14番パー4でフェアウエー中央をキープし感触をつかむと、そこからはおもしろいように300ヤード先の「特等席」をとらえ続けた。

 軸をぶらさずきれいな円弧を描くことで、ヘッドスピードとインパクト精度を極限まで上げるスイング改造が実を結んだ。「インパクト付近をスムーズに振り切れた。ストレスを感じずフェアウエーを歩き、第2打を狙える」。パットが決まらず2アンダー止まりも「パットを含めてもミスは3、4回」と言い切った。

 08年にプロ初Vを挙げた思い出の大会。今季はドライバー不振もあって、未勝利と苦しんできたが「ここできっかけをつかめると思っていた。どこでもドライバーが使えるので、リズムがつくれる」と浮上の機会ととらえていた。開幕前にはそのプロ初V当時から愛をあたためる女性との交際も宣言。すっきりとした気持ちで大会に臨んだ。

 絶好調にもかかわらず、ラウンド後には1時間半ものドライバー特打を敢行。「試合よりさらに良かった。結局完璧と言えるスイングってないんですよね」と苦笑いする。今季最高の手応えを得て、石川が逆転賞金王へ逆襲を始める。【塩畑大輔】