吉田弓美子(28=フリー)が今季初優勝に号泣した。

 「昨年は1勝も出来なくて、応援してくださる方に心配をかけてしまって…」と18番グリーンの優勝スピーチでおえつが止まらなくなった。

 13年3勝で賞金ランク5位と躍進しながら、昨季は0勝で同20位。「自分の中に、あまりにも足りないものが多いのでは、ちゃんと考えてゴルフをしてこなかったんじゃ…。そんなことを考えた」という。

 明るいキャラクラーで人気だが、それもマイナスに働いた。「みなさんが『吉田さんは笑っていないとダメだよ』と言ってくださる。それは本当にわかるんです。でも、ダメなときでも笑ってないといけないのは、本当に難しくて」という。“いつも明るい吉田弓美子”を演じることに疲れた部分もあったようだ。

 追い打ちをかけたのが、アンカリング禁止問題だ。腰痛持ちの吉田は、プロテスト合格の09年から長尺パターを使ってきた。過去4勝も全部、長尺で挙げた。ところが、来年1月から「グリップの一部を体に固定、支点にして打つ行為(アンカリング)」がルールで禁止になる。長尺パターが事実上使えないという規制に向け、不慣れな通常サイズのパターを今季から導入したが「支点を作ってストロークする私は、大丈夫だろうか」という不安が消えなかった。

 今回の優勝で得たものは大きい。普通のパターで結果を出した。また、難易度の高いマッスルバックから、易しいキャビティバックに替えたアイアンでも、結果を出せた。「今のツアーは、とにかく勢いがある。いろいろな選手がいて、誰が勝つかわからない。その流れについていきたい。名乗りを上げていきたい」。28歳。誕生日で見れば、賞金シード保持者50人中20番目の中堅プロが、再出発のスタートラインに立った。