イ・ボミ(27=韓国)が通算7アンダー209で今季3勝目、ツアー通算11勝目を挙げた。首位から出て、5バーディー、4ボギーの71で回った。12番終了時点では渡辺彩香(21)に3打のリードを許していたが、13番から3連続バーディーを奪い、渡辺のボギーもあって再逆転した。難コースで勝ち、底力を証明するとともに、賞金ランクでも2位テレサ・ルー(台湾)に5000万円以上の差をつけて独走状態。念願の賞金女王へまっしぐらだ。

 日本屈指の名門・小樽をイ・ボミが制した。「難しかったけど楽しかった」。終盤に底力を見せた。13番パー5では残り228ヤードから5番ウッドで3メートルに2オン成功。14番では第1打が木に当たって戻る「ラッキー」(イ)を生かし、第2打はカップ横30センチのOKバーディーだ。15番は5メートルの下りフックを沈め、渡辺に重圧をかける形でボギーを誘い、12番終了時点の3打差をひっくり返した。

 2番の3パットなど序盤はパットが決まらず「今週も負けるのかな」とも思った。だが、キャディーの清水重憲さんに「勝負は15番から」と言われ、耐え続けた。清水さんは男子のサンクロレラ・クラシックなど同コースで過去10回バッグを担ぎ、難関続きの残り4ホールでの逆転劇を何度も見ていた。昨年末の時点で「小樽は日本一素晴らしい、難しいコース。ボミにチャンスがある」と勧めたのも清水さんだった。

 飛ばし屋の渡辺、穴井との優勝争いを、技術で競り勝った。長いコースへの対策で、今回はウエッジを1本外し、5番アイアンとロフト25度のユーティリティーを両方入れた。447ヤードと女子ツアー史上4番目に長いパー4となった16番では前者で、最難関18番は後者できっちり乗せ、確実にパーにして逃げ切った。

 「(今週から)残り12試合に出て3勝したい」と目標を掲げ、まず1勝。賞金女王へもグッと近づいた。この日は妹ボベさんの26歳の誕生日でもあった。次の標的は昨年は父ソクジュさんの死去と重なってプレーを断念した9月10日開幕の日本女子プロ選手権になる。【岡田美奈】