来年1月から「アンカーリング(パターの一部を体につけ、支点にした打つ行為)」が禁止されるゴルフ界にあって、吉田弓美子(28=フリー)が長尺パターを使い、首位に躍り出た。

 この日は8バーディーを量産し、ぶっちぎりのベストスコア66をマークしたが、7個のバーディーを“魔法のつえ”で奪った。

 「もう1年は全然触ってなかったんですけど、しっくり来ました」

 09年プロテスト直前にぎっくり腰となり、長時間のパット練習ができなくなったことを機に練習で長尺を使い始め、10年夏から実戦投入。過去5勝中最初の4勝は長尺で手にした。アンカーリング禁止に対応して、今季は開幕から通常のパターを使ってきたが、先々週の伊藤園レディースで軽いイップスに見舞われ、先週の大王製紙エリエールから長尺を再投入した。

 「相模原市の自宅に電話をかけ、母親に送ってもらいました。でも、どこに置いてあるかもはっきりしなくて…」。4勝した“エース”は、ウエア契約を結ぶメーカーの希望で、同社内に飾られている。そこで、ヘッド形状の違う長尺を送ってもらった。古ぼけていたヘッドカバーだけ、クラブメーカーに頼んで新しいものに替えたという。

 アンカーリング禁止=長尺パター禁止ではない。要は体の一部にグリップをつけ、支点にして打たなければいい。ただ、吉田は「支点にしないと長尺は打てない。いろいろ試してみたんですが」とこぼす。

 今季最終戦の今大会が、同パターを使う最後の機会。“閉店間際の駆け込みV”へ。「国内メジャーだし、思い残すことなくやりたい」と話した。