谷原秀人(37=国際スポーツ振興協会)が7バーディー、2ボギーでこの日ベストタイとなる65で回り、通算4アンダー、206で首位と5打差の3位に浮上した。今季は国内開幕から2戦連続予選落ちと苦しんできたが、2月に亡くなった父直人さん(享年69)のためにも逆転を狙う。同じく65をマークした片岡大育が同9アンダーで単独トップの座を守り、ツアー通算2勝目に王手をかけた。

 5打差でも谷原は諦めていない。「自分のいいゴルフを天国で見てもらいたい」。昨年5月に直人さんの胃がんが発覚。2月にグアム合宿を途中で切り上げて帰国し、最期をみとった。葬儀では喪主を務め、その後も身内の不幸が続いてオフの調整不足は否めない。それでも「言い訳はしない」。一番つらいはずの母瑞代さんが「悲しんでる暇なんてない」と1週間ほどで実家の料理屋を再開した姿を見ている。「あの強さがオレも欲しい」と話す。

 この日は4番でピンそば1メートルにつけるなど、アイアンでチャンスを量産。最近2週は昨年も使ったカーボンシャフトを今季仕様に設計して臨んでいたが「しなりが分からず、コントロールできなかった。大失敗」。2位となった3月ニュージーランド・オープンと同じスチールシャフトに戻したことで、好調時の感覚がよみがえりつつある。

 逆転には18番で大きく右に曲げるなど「許容範囲外」とこぼすドライバーの復調が欠かせない。幼い頃は池越えのショットができないことが悔しくて、父に「もう前から打っていい」と言われても聞かなかった。ホールアウト後、車にあった替えのクラブを全て引っ張り出し、ひたすら打ち続けた。「あれ(18番のミス)があるから練習する。気持ちよく打てる自分探しですよ」と笑った。【亀山泰宏】