イ・ボミ(27=韓国)が圧勝で大会2連覇を決めた。最終日は5バーディー、ノーボギーの67。72ホール競技最多アンダーパーのツアー記録に1打及ばぬ通算20アンダーの268で、2位ペ・ヒギョン(23)に5打差をつけた。今季2勝目で出場11戦連続トップ5のツアー新記録を樹立し、今季獲得賞金は早くも大台に迫る9391万3332円で賞金ランク1位に浮上。奇跡のリオデジャネイロ五輪韓国代表入りへ。7月7日開幕の全米女子オープンに弾みをつけた。

 スタート前の4打差を、ペに2打差とされ迎えた13番。10メートルのロングパットを放り込むと、イ・ボミが初めてガッツポーズを見せた。「あれで優勝できると思った」。終わってみれば、2位と5打差の通算20アンダーと圧倒的だった。

 追う者に非情なまでの強さを見せるのに、表彰式では泣いた。「毎朝、お母さんがおにぎりを作ってくれて…オモニ(お母さん)…カムサムニダ(ありがとう)」。日本語と韓国語がごちゃまぜの優勝インタビュー。この日朝、いつも同じ部屋で寝る母ファジャさん(54)が別室のソファで寝ていた。「ボミが寝にくいと困るでしょ?」。おにぎりも作ってくれていた。

 出場11戦連続トップ5の陰で悩みもあった。5月8日、ノーバーディーの75で4位に終わったサロンパスカップ最終日。清水キャディーにメールした。

 「わたし、だいじょうぶですか」「ぷれっしゃー、しんどいです」

 平仮名ばかりの訴えで救いを求めた。

 「お母さん、トレーナーさん、コーチ、清水さん。みんなに助けられています。私は“人のロボット”です。その人たちがいるから、頑張れます」-。

 リオデジャネイロ五輪代表選考の最終決戦、全米女子オープンに挑む。強豪ぞろいの韓国代表は7月11日時点の「世界ランク上位4人」が予想される。現在7番手で情勢は極めて厳しいが、1番手朴仁妃が故障による代表回避の可能性もある。「絶対無理と思ってましたが…最後まで頑張りたい」。メジャー制覇で奇跡の逆転はなるか。亡き父ソクジュさんの夢でもあった五輪を夢見て、イ・ボミが米国に飛ぶ。【加藤裕一】