プロ5年目の時松隆光(22=筑紫ケ丘GC)が通算21アンダー195で、2位に5打差をつけて首位に立った。1打差2位から出て10バーディー、1ボギーの63でコース記録に並ぶ猛チャージだった。幼児期に患った心臓病を乗り越え、独特のベースボールグリップでゴルフを続け、3週前の下部ツアーで優勝した資格で本大会に出場。ツアー初優勝の大チャンスをつかんだ。2位は岩本高志(41)と金奉燮(33=韓国)。

 時松が「自分でも信じられない」というバーディーラッシュだ。いわゆるベースボールグリップから繰り出すショットはピンに絡み続けた。

 まだ記憶もない幼児期に心臓病で手術を受けた。家族が健康のため「空気のいいところでできるもの」とゴルフを勧め、5歳でクラブを握った。その時、コーチの篠塚武久さんに「指や体に負担のないスイング」として教わったのが、今の握り方だ。指というより手のひら全体で握る感覚で、「左の親指を痛めない」のが利点。先輩プロに通常のグリップを勧められて、試したこともあるが「球が曲がってしまう」と照れ笑いだ。ちなみに野球はやったことはない。

 福岡・沖学園高3年までは1年に1回、心臓の定期健診を受けていたが、「もう大丈夫」とお墨付きをもらい、卒業後にプロ転向。下部ツアーを足がかりに、ツアー優勝を手繰り寄せるところまできた。2位と5打差も「差は考えない」。シンデレラボーイの誕生まで、あともう1歩だ。【岡田美奈】