松山英樹(24=LEXUS)が3バーディー、3ボギーの70で回り、通算1オーバーの141で首位と3打差の8位につけて決勝ラウンドに進んだ。ホールアウト後の練習では先輩プロのショット動画をスマートフォンで撮影するなど、修正に時間を割いて優勝争いに備えた。

 ホールアウト後、ドライビングレンジにいた松山はいつしか、隣になった兼本貴司の練習に熱い視線を送っていた。ツアー通算2勝を挙げた45歳の高弾道アイアンショットを見て「あの高さが欲しい、マジで…」とポツリ。許可をもらい、スマートフォンで撮影。さらに「メッチャ注文して申し訳ないんですけど…」と恐縮しながら、別の番手でも打ってもらった。

 「松山のためなら」と快く応じてくれた兼本のショット動画を見直し「軸が大事ってことだな」とつぶやいた。この日は8番でフェアウエーから第2打を打った瞬間、座り込むように悔しがった。グリーンを捉えていても、バーディーチャンスにつけられなかったことが許せず「話にならない」と言った。米ツアー2勝目を挙げ、メジャーで優勝争いを経験した昨季、納得できるアイアンショットが打てたのは「1回しかない。全米プロだけですね。その前はいつか分からない」。自らに高いハードルを課し、どんな時も貪欲に進化のヒントを探している。

 不満の残る状態でパープレー。最終9番はバンカーからピタリと寄せてバーディーで締めるなど、同組の石川が「英樹はグリーンを外しても焦りがない。ティーショットがラフにいってもボギーが出そうにない」とうなった小技でスコアをまとめ、トップとの差を2打縮めた。「結果的に優勝を狙える位置で終われたのは良かった。残り2日間、しっかりと粘っていけばチャンスは残っている」と貫禄を漂わせた。【亀山泰宏】