松山英樹(24=LEXUS)と石川遼(25=CASIO)の日本は7バーディー、ノーボギーの65で回り、通算6アンダーの138で第1日の10位から8位に順位を上げた。松山は7番で隣接するホールのフェアウエーを利用してバーディーを奪うなど、米ツアー仕込みのアイデアと技を披露した。2人のうちホールごとに良い方のスコアを採用するフォアボール方式でスコアの伸ばし合いとなる中、60を出したデンマークが通算12アンダーでトップに立った。

 7バーディーのうち松山が奪ったのは3つ。「自分のゴルフがふがいなかった。いいところがなかったですね」と悔しがる中で、唯一誇ったホールがあった。

 443ヤードの7番パー4。フェアウエー右サイドはバンカーに向かって傾斜しており、第1打の許容範囲がかなり狭い。左からの強風も計算し、落としどころが広い隣の1番をドライバーで狙い、きっちりフェアウエーを捉えた。残り150ヤードから7番アイアンで3メートルにつけてバーディー。「遼が(先にボギーで)ちょっとピンチになったところで、バーディーでカバーできた」と力強く拳を握った。

 進藤大典キャディーが「作戦通り」と話したように、キャリー(打った球が最初に地面に落ちるまでの距離)で280ヤードほどが必要な“奇策”実行に向け、綿密なコースチェックとテストを重ねていた。6月の全米オープンでは、進藤氏が世界ランク1位デー(オーストラリア)のコリン・スワットン・キャディーから、コースの2つのパー5で隣のフェアウエーを使って2オンを狙う攻略法を教わり「1人では思い付かない」と目を輝かせたことがあった。その時は本番でトライする機会こそなかったが、チームとしての蓄積はこの大舞台で生きている。

 359ヤードと短いパー4の10番ではキャリーで325ヤードのビッグドライブを見せ、グリーンの右サイドまで運んだ。ショートパットを外してバーディーは逃したが「いらつきをぶつけた」という次の11番でチップインバーディー。本人は不満たっぷりでも、見どころ満載の18ホールだった。

 首位との差は開いたが「(石川と)お互い(調子は)全然良くないけど、その中で、この差でいられる。残り2日で自分たちの最大限のパフォーマンスを出せれば、逆転は可能だと思う」。それだけの爆発力を秘めていることは、これまでの実績が証明している。【亀山泰宏】