ここ5試合で4勝を挙げ「世界で最もホットなゴルファー」と呼ばれている世界ランク6位松山英樹(24=LEXUS)が、17年初戦勝利にまた1歩迫った。この日のベストスコア66で回り、通算16アンダー203で、首位ジャスティン・トーマス(23=米国)と2打差の2位に浮上した。これで13ラウンド連続の60台。米ツアーでの自己記録を更新中の圧倒的な安定感で、目指すは逆転優勝だ。

 大歓声に、右こぶしを力強くにぎるガッツポーズで応えた。14番(パー4)。松山は2オンに失敗したが、続く第3打をグリーン左手前、ピンまで約7メートルの位置からチップインさせた。スライスしながらカップに吸い込まれる見事な一打を、米PGAツアー公式ホームページも「ショット・オブ・ザ・デー」に認定。本人も「(第2打を)ミスした後だったからうれしかった」と喜んだ。

 18ホール終了後、「何が良いというわけじゃないけど、うまくミスが少なくできたかなという感じ」と淡々と答えたが、10番(パー4)で残り98ヤードの2打目をピンにぴたりとつけ、12番は3・5メートルのスライスラインを読み切るなど後半だけで5バーディーと爆発。終わってみれば8バーディー、1ボギーのベストスコア66で、首位トーマスに2打差の2位に浮上した。

 これで昨年9月の昨季最終戦、ツアー選手権から13ラウンド連続の60台。その驚異的な安定感に海外メディアや、首位トーマスまでもが「ヒデキは今、世界で最もホットなゴルファーだから」というほど。米スポーティング・ニューズ誌(電子版)も最終日の見どころに「松山はさらに優勝数を伸ばす大きなチャンス。定期的にパターに不調が訪れるのはもう過去の話」と記した。

 今大会は松山にとってリベンジの場でもある。トーマスは昨年10月のCIMBクラシックで優勝し、松山は2位。ここ5戦で唯一優勝をさらわれた相手だ。「弱点のない選手。距離もあるしショートゲームもすばらしい。追いつくには相当伸ばさないといけない」と気を引き締めた。

 ただ、その上で「過去5戦4勝で得た自信は大きい。自分のプレーができれば(優勝の)チャンスはある」とも言い切る。「もう少しアイアンの距離感が欲しいし、ティーショットもまだまだ」と相変わらず自分に厳しいが、日本男子単独最多となる米ツアー通算4勝目へ意欲を燃やした。

<松山が今大会で優勝すれば>

 ◆日本人最多勝利 米PGAツアー4勝は日本人単独最多。これまでは丸山茂樹と松山が3勝で並んでいた。他に青木功、今田竜二がそれぞれ1勝している。

 ◆日本人史上初 シーズン複数勝利と出場2大会連続優勝は日本人選手としては史上初。

 ◆世界ランク5位浮上も スピース(米国)が今大会で3位以下なら、同選手を抜いて松山が世界ランク5位に浮上する見通し。これまでの日本人選手の最高位は中嶋常幸の4位(現在とは算出方法は異なる)。