ご当地選手のアマチュア勝みなみ(18=鹿児島高3年)が泣いた。予選通過ラインと予想された通算1オーバーで迎えた最終9番パー4。第2打をグリーン右奥ラフに外し、アプローチもミスした。残ったのはカップまで2・5メートル、きつい下りのフックライン。難度の高いパーパットを沈めると、右こぶしを握り締めた。ハウスキャディーの田之上奈々さん(37)に抱きつき、ポロポロ泣いた。

 数え切れない感謝の思いと、その分だけ大きい重圧と戦った。「絶対に予選を通らないといけない。ずっとそう思っていたので…」。14年4月20日、KKT杯バンテリンレディースで「15歳293日」というツアー最年少優勝を決めた時も泣かなかった。出場59戦目のツアー競技で、初めて人前で涙を見せた。

 今年のプロテストを受験する。アマチュアとして、生まれ故郷の鹿児島開催のツアー競技出場はおそらく最後だ。しかも鹿児島高牧CCは、祖父市来龍作さんが競技委員、エチケット・ジュニア委員長を務めるホームコース。ゴルフを始めた頃から世話になってきた。数え切れない程の思い出がある。キャディーの田之上さんとは5度目のコンビで、同コース開催の今大会ではすべてバッグを担いでくれた。

 コースサイドには母久美さんに加え、小学校教諭の父秀樹さんもいた。赴任先の与論島から飛行機で応援にかけつけてくれた。

 予選通過圏外62位からスタートしたこの日「悪くてもアンダーパーを出さないとダメと思っていた」。前半14番、後半2、3番で3個もチップインバーディーを決めた。「3個なんて、初めてです」。執念で71をたたき出した。

 重圧から解放されて迎える19日の最終日。「明日があってよかった~。明日は攻めますよ~」。おどけて、いつもの“みなみスマイル”を見せた。