菊地絵理香(28=オンワードホールディングス)が、2位に5打差の圧勝でツアー通算3勝目を挙げた。最終日は5バーディー、1ボギーの68をマークし、初日から首位を守る完全優勝。13年に一ノ瀬優希が出した大会最多アンダーパー記録に並ぶ通算14アンダーの202までスコアを伸ばした。過去2勝は4月開催で今回は3月という“春女”が、ツアー最長だった海外勢の連勝を「8」で止め、日本のエースに名乗りを上げた。

 ただの優勝ではない。ツアー初優勝だった15年KKT杯バンテリン・レディース以来2度目の完全V。それも2位に5打差という圧勝の裏で、菊地はあえての試みを課しクリアした。

 17番パー3(140ヤード)の第1打。「グリーンを外すなら、奥の方が簡単だけど…。グリーンに届くギリギリの番手でいった。うまくいけばピンに絡むから」。7番アイアン(I)でなく、8番Iのショットはイメージ通りだったが、わずかにグリーンに届かずラフへ。それでも、きっちりパーセーブした。

 コース内のリーダーボードを全部見ながらプレーした。「その方が重圧はかかるけど、接戦になった時は、究極の重圧がかかってくるので」。過去2勝は一切見なかった。自分がスコアを5、6伸ばすことだけを考えていた。

 すべては国内メジャーの日本女子オープン、日本女子プロ優勝を見据えてのこと、さらにイ・ボミ、アン・ソンジュ、申ジエら同世代の韓流パワーと戦う力をつけるためだ。「私の技術は、その3人の足元にも及ばない。彼女たちはいろんな状況で、当たり前のようにいろんな技術を出してきますからね」。

 春が遅い北海道の出身だが、ツアー3勝は4月2勝、3月1勝という“春女”は「早い段階で勝てたことは素直にうれしい」と笑みを見せた。日本勢にはツアーワースト記録だった海外勢連勝は8で止まった。志の高い菊地がストッパーになったのは、きっと偶然じゃない。【加藤裕一】

 ◆菊地絵理香(きくち・えりか)1988年(昭63)7月12日、北海道苫小牧市生まれ。ゴルフはティーチングプロの父克弥さんの影響で6歳から。中3で日本女子アマ4強。東北高卒業後、07年にTPD登録でプロ転向、08年プロテスト合格。15年賞金ランクが自己最高8位。昨季は同10位。3歳差の姉明砂美も女子プロ。157センチ、52キロ。