久保谷健一(45=フリー)が、5年ぶりとなるツアー通算7勝目を挙げた。7バーディー、ノーボギーの64で回り、通算11アンダーの273でホールアウト。最後は宮本勝昌(44)とのプレーオフを制した。

 12年日本オープンを制した後は腰痛に苦しんできた。昨季は23戦で16度の予選落ち。練習したくても、腰をかばって量をセーブしなければならないジレンマを抱え、日本オープン優勝による5年シードも今年で切れるという崖っぷちだった。周囲の支えも力になったのではと聞かれると、少しだけ感極まった様子を見せた。「ウチのカミさんもあんまり文句は言わなかった。僕は怒られるのが嫌いだから、見て見ぬふりをしてくれるのが助かった」と感謝を口にした。

 ゴルフで苦しみ、最近は大好きだったはずのお酒も受け付けなくなっていたという。「ゴルフでイライラして『何でオレって、こんな人間なんだろう』ってグダグダ飲むから、いい酒だった記憶がない」。荒んだ心を癒やしてくれる存在がいたから耐えられた。「ゴルフに裏切られ、酒にも裏切られたからね。犬だけは絶対、裏切らないもんね。今は犬が支えです」。

 爆笑する報道陣に真顔で続けた。「ウチの犬はホントにかわいいんだよ」。ペキニーズのアズキちゃんとキントキくんの写真をスマートフォンで見せて回り「実物はもっとかわいいんだから」と頬は緩みっぱなしだった。

 「何がうれしいって、今、金銭的に苦しいですから。(優勝賞金の)3000万円、これが一番うれしいです」と笑わせた後で「でも、カミさんは(副賞の)水回りリフォーム権の方がうれしいんだろうなあ…」。周囲への愛情と感謝にあふれた、笑いの絶えない優勝会見だった。