ツアープロ5年目の鈴木愛(23=セールスフォース)が初の賞金女王に王手をかけた。首位と3打差5位から出て4バーディー、ボギーなしの68で回り、通算15アンダーの273で2位。賞金ランクトップを守り、今季最終戦となるツアー選手権リコー杯(23日開幕、宮崎CC)で単独6位以上なら、4年ぶりに日本人女王が誕生する。

 “愛ちゃん”が賞金女王に大きく近づいた。5位から出て前半だけで3バーディー。10番パー4ではカラーから4メートルを沈めた。瀬戸内海を望むコース。寒風に凍えながらもボギーなしでしのぎ、申ジエとの優勝争いを演じた。2打及ばずも、2位の賞金900万円を加算したことで、女王争いは韓国勢3人を含む4人に絞られた。最終戦で単独6位以上なら、自力で13年森田理香子以来の日本人賞金女王が決まる。

 「久しぶりに優勝争いが楽しかった。すごく寒くて風も強い中で、いいゴルフができた。悔いはないですし、いいモチベーションで来週に臨める」

 心が折れた時期もあった。10月のNOBUTAグループ・マスターズGCレディースは、まさかの6オーバーの84位で今季2度目の予選落ち。練習の虫が泣き言をこぼした。「どんなに練習をしてもこんなに悪いなら、もう練習なんかしない方が楽です」。苦しみから抜け出したのはやはり、人よりも1打でも多く練習することしかなかった。

 徳島で育った小学生の時、テレビで見た宮里藍に憧れ本格的にゴルフを始めた。その宮里も手にしたことのない賞金女王へ。もう1人の“愛ちゃん”が王手をかけた。【益子浩一】