<男子ゴルフ:UBS日本ツアー選手権宍戸ヒルズ>◇最終日◇6日◇茨城・宍戸ヒルズCC西C(7280ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 星野英正(30=フリー)が、通算12アンダーの272で今季初優勝を果たした。この日は2位に3打差の首位からスタートし、国内屈指の難設定コースを持ち前の堅実ゴルフで70と乗り切った。2位に5打差の圧勝だった。06年10月コカ・コーラ東海クラシック以来となるツアー通算3勝目を国内メジャー初制覇で飾り、5年間シードを獲得。10月の日本オープン優勝と世界への挑戦を次の目標に掲げた。

 普段はクールな星野が、珍しく感情をむき出しにした。外しても優勝は確実な3メートルのボギーパットを、18番のカップにねじ込むと、力強く両手を突き上げ、空に向かって「やったあ」。その直後、目には涙が光った。「自信はあったし、勝てると思っていた。でも、精神的につらかった。やっと戦争が終わったなという感じでしたね」。

 難コースに後続が崩れたこともあって、前半で2位に5打差と独走態勢。「このコースでは、まず飛距離が必要。ドローとフェード、そして高い球と低い球を打ち分けられる技術も必要。アプローチもパッティング技術も要求される」。後半はコースとの戦い、自分との闘いだった。だからこそ「高いレベルの『オールラウンドプレーヤー』じゃなければ絶対に勝てないメジャーを勝てた。この自信は大きいですよ」と目を見開いた。

 プロ3勝目の今回、初めて試合会場に、仙台の実家から父浩鎮さん(62)と母喜美江さん(59)が駆けつけていた。浩鎮さんは、13歳でゴルフを始めた星野を劇画「巨人の星」の星一徹ばりの鉄拳制裁付き猛特訓で鍛え上げた。12畳の子供部屋で「買い物かご2箱に入った」約1500個のボールを使ってのアプローチ練習が、日課だった。「当時は殺されるかと思ったけど、今の僕があるのもオヤジのおかげ。やっと目の前で親孝行ができました」と星野はほほ笑んだ。父も「最高の1日です。英正が感情を表に出さない性格になったのは、私が厳しくし過ぎたせいとずっと悩んできたんですよ」と笑った。

 最高の舞台で5年シードを獲得し、今後の目標も明確になってきた。「まずは日本オープン」。日本アマ3勝の男らしく、日本タイトルへのこだわりを見せた。「それから、2年ぐらいかけて体を大きくしたい。今の僕のゴルフで体(の厚み)が2倍になったら、もっと勝てる。米ツアーでも戦える」。今大会の優勝で7月31日からの世界選手権シリーズ・ブリヂストン招待の出場権も得た。アマ52冠の「怪物」が30歳になって、世界に飛び出すチャンスと自信をつかんだ。【大石健司】