遼くんが「秘密基地」から出陣して「2週連続V」に挑む。男子ツアーのバナH杯KBCオーガスタは28日から、福岡・芥屋GCで開幕する。先週の関西オープンで1月のプロ転向後初優勝を果たした石川遼(16=パナソニック)は、街中のホテルを避けて会場近くに貸別荘を確保。実は今季、外の世界から隔絶されたところに泊まった時、好成績を残している。大自然の中でリラックスできる環境から、プロとしては初のツアー制覇に挑戦する。

 石川はこの日、プロ初優勝を飾った関西から福岡に移動。自然に囲まれ、人目につきにくい「秘密基地」に入った。今回が初出場のバナH杯KBCオーガスタの会場は、博多駅から車で約1時間の「通勤圏」。ラウンド後を楽しみに、九州最大の繁華街の中洲周辺に宿をとる選手がほとんどだが、16歳の高校2年生プロは違った。父でコーチの勝美氏(51)が関係者に頼み込み、コース近くの別荘を借りた。「今の遼には、ゴルフに集中できる環境が一番重要ですから」と勝美氏は話した。

 根拠がある。今季、好成績を残した試合では、すべて人里離れた郊外の宿舎に泊まっていた。最終日まで優勝争いを演じ、5位だった開幕戦は、コース内のホテル、3位に食い込んだ北海道のセガサミー杯でも貸別荘。そして、先週は所属するパナソニックの保養所だった。「朝晩に庭で自由に走ったり、キャッチボールやストレッチがしたりで、とてもリラックスできました」と石川も振り返る。

 今回は、プロ転向後初めて、勝美氏が所用のため大会に帯同していない。マネジャーや代理店関係者、そしてキャディーやトレーナーらと自炊生活を送り、ツアー後半戦を戦い抜くモチベーションと団結力を養う意図もある。「先週勝てたからといって、すぐにまた優勝争いができるほどツアーは甘くないでしょう。でも、こうした経験が将来につながる」と勝美氏。万全な準備で臨む石川が、また何かをやってのけるかもしれない。【大石健司】