<男子ゴルフ:フジサンケイクラシック>◇2日目◇5日◇山梨・富士桜CC(7397ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 石川遼(16=パナソニック)が、粘りとたくましさを見せた。6番までに3ボギーと崩れかけたが、その後5バーディーを奪うなど盛り返してイーブンパー71にまとめ、通算1アンダーの141で17位。プロ転向後初のツアー4戦連続予選通過を果たした。これまでスタートで大きくつまずくと立ち直れなかったが、優勝した2週前の関西オープン(ツアー外競技)をきっかけに、「ボギー先行も怖くない」精神力を身に付けた。残り2日間、通算10アンダーで首位を走る藤島豊和(27)を追いかける。

 パットのタッチが合わず、3オーバーで迎えた6番パー5で、石川が反撃ののろしを上げた。「今日はパターには期待できないな…」とつぶやくと「それなら」とばかり、残り270ヤードの第2打で、3番ウッドを振り抜いた。ピン左12メートルに2オン。楽々2パットの初バーディーで、流れを引き寄せた。そこから「借金」を完済し、イーブンパーで2日目を乗り切った。

 これまでは、スタートから3オーバー以上たたいたラウンドでは、1度も立ち直れなかった。だが、今は巻き返す粘りとたくましさがある。「ボギーをたたいても、もうめげなくなってますね」。前日の第1ラウンドも2連続ボギーのスタートだったが、1アンダーまで盛り返した。

 プロ初優勝を果たした2週前の関西オープンが転機だった。初日から首位に立ったことで、2日目は予選落ちを意識せず、スコアを伸ばすことだけに集中できた。それまで2日目はいつも、予選カットラインが脳裏にちらつきながらのプレー。やっと「2日目の呪縛」から解き放たれた。この日も「今日はボードも見なかった。あれから、常に同じモチベーションで回れている」と言い放った。

 初日の「70」に続き、2日目の「71」のスコアも昨年と同じだが、心境は明らかに違う。昨年は父勝美氏に「プロの方々の枠を削ってまで推薦で出してもらっているアマとして、絶対に予選を通りなさい」と言われ、必死だった。今は自分から「プロだからこそ予選落ちしちゃいけない」と思えるようになった。5月からの4戦連続予選落ちで「4日間プレーすることで成長できる」と思い知ったからだ。

 2日間同組の谷口も「3オーバーから挽回(ばんかい)するのがすごいわ。プロとしての自覚があるね」と褒め上げた。初日は技術の向上を示し、この日は精神的な成長を証明した。「ここからですね」。現時点の17位ではもう、本人も周囲も満足できない。【大石健司】