<男子ゴルフ:キヤノンオープン>◇最終日◇12日◇神奈川・戸塚CC西C(7167ヤード、パー72)◇賞金総額2億円(優勝4000万円)
プロ11年目の井上信(33=袖ケ浦CC)が、今季ツアー最大差となる6打差からの逆転優勝を果たした。この日はパットがさえて65の猛チャージ、通算13アンダーの275とし、ツアー通算2勝目を挙げた。初優勝だった04年10月ABCチャンピオンシップでは、仲間から祝福の「池投げ」を受けて左ろっ骨を骨折した逸話を持つ。その「珍事」から丸4年、2月に結婚した明日香夫人(28)の目の前で、主役の座に返り咲いた。石川遼(17)は、通算7アンダーで21位だった。
井上は、スコアカード提出所の横で歓喜の瞬間を待った。自分より4組、40分も後に18番グリーンにやってきた最終組のプレーを凝視。プレーオフ進出をかけた宮里優と藤田が相次いでバーディーパットを外すと、端正な顔をくしゃくしゃにした。「ゴルフって分からないものですね。先週までは賞金シード(上位70人)もやばかった。『オレは、このまま1勝だけで終わるのかな』と思っていたのに」と打ち明けた。
2週前は賞金ランク63位だった。低迷打開のため、前週のコカ・コーラ東海クラシックからパターを替えた。賞金王を争う練習仲間の谷原と矢野が愛用するPRGRのマレット型。「なぜか分からないけど、よく入るんです」。前週は急性胃腸炎に倒れ、連日点滴を受けながら、今季最高の3位。そしてこの日は、6メートル以上のパットが3回も決まるバーディーラッシュだ。6打差逆転は、今季男子ツアー最大差逆転。賞金ランクは9位まで上昇した。
初優勝時は「池投げ骨折」ばかりが注目された上、直後の高額大会を棒に振った。それも「あれで若干、名が上がりましたから」と前向きに受け止める。「今日も池があったら、飛び込みたかった。先週も『勝ったら池に行こう』と思ったら18番で、ボールを池に入れちゃった」と笑った。
今回は18番に池はない。仲間の手荒い祝福もなく、代わりに明日香夫人との写真撮影が、待っていた。来年1月の披露宴を前に、しっかり結果を出した。「これからは『こいつはすごい』とギャラリーが見にきてくれるような選手になりたい」。もう、ドタバタ劇はいらない。今後はプレーで名を上げる。【大石健司】

