<米男子ゴルフ:全英オープン>◇2日目◇17日◇英・ターンベリー(7204ヤード、パー70)

 【ターンベリー=木村有三】タイガー・ウッズ(33=米国)が、出場14度目の全英オープンで初めて予選落ちした。初日に続いてティーショットが安定せず、2ダブルボギーをたたくなど74と崩れ通算5オーバー。74位でカットラインに1打届かなかった。メジャーで決勝ラウンド進出を逃したのは、プロ入り後では06年全米オープン以来2度目。初めて同組になった石川遼(17)に世界王者の威厳を示せず、石川とともにわずか2日間で姿を消した。

 世界王者の怒りが、頂点に達した。左サイドがすぐ海の9番パー4。ドライバーではなく、安全にフェアウエーウッドで放った球が大きく右へ曲がると、ウッズはクラブを地面へたたきつけた。それでも、収まらない。今度はキャディーバッグもドカン!

 同組の石川も腕組みしたまま動けないほど、周囲の雰囲気は凍りついた。

 10番も第1打を大きく右へ曲げ、300人近くの観客と一緒に球を探したが、紛失球となりダブルボギー。13番ではグリーン奥からのアプローチが傾斜で逆戻りし、またもダブルボギーをたたいた。16番から2連続バーディーを奪ったものの、カットラインに1打届かず予選落ち。14度目の全英で初、プロ入り後のメジャーでも06年全米オープン以来2度目の屈辱に、頭を抱えた。「失望しているよ。せっかく7番ホールまでは、いいプレーをして1アンダーで回っていたのにね。数ホール、ティーショットが悪かった」。

 初めて直接対決した石川に、底力を示すつもりだった。2週前のAT&Tナショナルで今季3勝目を挙げ、現在米ツアー賞金ランク1位と調子も良好のはずだったが、肝心のショットが曲がりまくった。2日間のパーオン率は石川の63・9%(53位)を下回る58・3%(98位)。「本当に悔しい。メジャーではミスは許されないのにミスを繰り返してしまった」。珍しく、ラウンド中に立て直すこともできなかった。

 強風でのリンクスのプレーも何度も経験済みだった。だが、より下半身の踏ん張りを求められる状況に、昨年手術した左ひざが耐えられなかったのか、スイングのバランスを保つことができなかった。手術直後だった昨年は、フロリダの自宅で療養中のため欠場。「大好きだ」というリンクスで大会4度目の優勝を狙っていたが、来年へと持ち越しになった。

 今季はメジャー2週前の前哨戦こそすべて勝っているが“本番”での勝利はない。残るひとつは、8月全米プロ(13日開幕、ヘーゼルタインナショナルGC)だけ。「とても、おなかがすいたよ。家に帰りたい」。しばらく体と心を休めた後、最後の大一番に向けて巻き返しを図るしかない。