<男子ゴルフ:VanaH杯KBCオーガスタ>◇2日目◇28日◇福岡・芥屋GC(7146ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 石川遼(17=パナソニック)が9ホールで3つスコアを伸ばし、通算10アンダーで首位に並んだ。悪天候でスタートが4時間30分遅れる中、日没サスペンデッドとなった9番終了までに3バーディーを奪った。この日発表された11月の国・地域別対抗戦W杯代表から「落選」したが、今季最速3勝目&賞金ランク1位浮上へ、2つのマイナス要素を乗り越えた。ホールアウトした選手では平塚哲二(37)が大会レコードに並ぶ63で回り、通算10アンダーで暫定首位にいる。

 照明が光る9番グリーンで、石川が10アンダーまでスコアを伸ばした。8メートルのイーグルパットが外れた直後に日没サスペンデッドを告げるサイレンが鳴ると、冷静に50センチを沈めてバーディー。9ホールで3つスコアを伸ばし、既にホールアウトした平塚らとともに首位に並んだ。

 「スタートが夕方で、いつもとは違う状況だったけど、うまく対応できた。紙一重のところでパーで抑えたり、バーディーも来てくれてラッキーでした」。

 早朝に雷雲が接近したため、午後0時25分スタート予定が同4時55分まで遅れた。会場から約10分の貸別荘に泊まる石川は、午前中から大会側と密に連絡を取り状況を確認。スタート時間が決まると、正午前に町中の練習場へと出掛けた。「これから試合なの?」「こんな時間から?」と驚く一般客に混じって1時間打ち込むと、午後2時のコース到着後も2時間近く調整。今週は父勝美氏が不在だが「僕が決断する」とプロの自覚も十分に、ゴルフ人生で最も遅い時間のスタートを乗り切った。

 悔しさもエネルギーに代えていた。「出てみたい」と出場を熱望していた11月のW杯日本代表がこの日、今田と藤田に決まった。選択権があった今田に選ばれず「落選」した形になった。「経験ないことを経験したかったという意味では残念さはあるけど、次は選択権がある位置まで世界ランクで行くか、選ばれるように技術を磨きたい」と近い将来の代表入りへ決意表明。「2人はやってくれる。応援させてもらう」とさわやかにエールも送った。

 29日は午前7時10分から第2ラウンドの残り9ホールがスタート。第3ラウンドを含めると計27ホールの長丁場となる。「ここまではいいゴルフができている。まだまだ優勝は見えてないけど、明日はとにかく優勝が見える位置で終われるようにしたい。体は大丈夫」。17歳の若さを武器に、今季最速3勝目へ突き進む。【木村有三】