<女子ゴルフ:日本女子オープン>◇最終日◇4日◇千葉・我孫子GC(6559ヤード、パー72)◇賞金総額1億4000万円(優勝2800万円)

 横峯さくら(23=エプソン)が、惜敗に号泣した。7打差5位から出て、大会史上最少ストロークタイの65と猛チャージを見せ、通算11アンダーの277で宋ボベ(23=韓国)と並び、プレーオフに突入。1ホール目でバーディーを奪った宋に対し、横峯はバーディーパットをわずか50センチ左に外して、初の日本タイトル獲得と今季5勝目を逃した。宋は初の公式戦(国内メジャー)優勝。最年少での公式戦優勝を期待された宮里美香(19)は6打差の6位に終わり、宮里藍(24)は3打差3位だった。

 プレーオフで敗れた横峯は、淡々とコースを去ろうとした。だが、クラブハウスで、ジュニア時代から世話になった日本ゴルフ協会(JGA)関係者に「よく頑張ったね」と声を掛けられると、胸に秘めるつもりだった感情がこみ上げた。「天国と地獄。優勝は目の前だったのに…」。おえつは止まらなかった。

 最後の最後に試練が待っていた。プレーオフ1ホール目、3・5メートルのバーディーパットで、横峯はスライスと読んだが、キャディーはフックを主張。キャディーの意見に従いつつも、半信半疑で打った球はカップからわずか50センチ左へそれた。3メートルのバーディーパットを沈めた宋に勝利の女神はほほ笑む。「悔いなく打てていれば、仕方ないと思えたが…。未熟な部分です」と、大事な場面で判断ミスした自分を責めた。

 7打差5位で迎えた最終日は1番でイーグル発進した。3番でダブルボギーも、4番から9番まで4バーディーを奪い、首位宋に2打差と迫った。「もしかしたらチャンスがある」と再び逆転優勝を狙い、14番で1・5メートルを沈め、18番では4メートルのバーディーパットを決め、宋とのプレーオフに持ち込んだ。

 驚異的な猛チャージは、父良郎氏(49)のおかげだった。前夜、ショットの精度を高めるため、手首を固定して打ち下ろす、低い弾道の「パンチショット」を勧められた。アマ時代から重視してきた基本のショット。最近は試合で打っていなかったが、体は覚えていた。「3日目までより、2~3メートルはピンに寄った」(良郎氏)ショットでスコアを伸ばした。優勝は逃したものの「去年と比べれば成長している」と終盤戦への手応えはつかんだ。

 高額賞金の公式戦で、2位でも1540万円獲得。賞金ランクトップの諸見里との差は1798万円差に詰めた。念願の日本タイトルを逃した悔しさばかりが頭を支配し、本人は「賞金女王争いは考えていない」と話したが、1度は白旗を上げた逆転賞金女王の可能性は、十分に残されている。【田口潤】