<女子ゴルフ:ヨコハマタイヤPRGRレディス杯>◇最終日◇14日◇高知・土佐CC(6262ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円)

 前代未聞の「優勝者繰り下げ」が起きた。朴仁妃(21=韓国)が通算12アンダーの首位で競技を終えたが、ホールアウト後に1番グリーン上で「球の動く原因となった行為」をしていたことがテレビ映像によって確認された。2罰打が科されて日本初優勝は幻となり、通算10アンダーの2位に降着。11アンダー、205で終了していた同組のウェイ・ユンジェ(30=台湾)が、女子ツアー初の「繰り上がり優勝」となった。

 まさかの事態だった。64をマークし、通算12アンダーで日本初優勝を飾ったはずの朴に、ホールアウトから約1時間後、前代未聞の処分が言い渡された。2罰打で2位へ繰り下げ。朴は「自分はまだ結果を受け入れられない。私が1位と思う」と不服そうに話した。

 問題は、スタートの1番ホールで起こっていた。朴は3メートルのバーディーパットを約50センチオーバー。返しのパーパットを打つ前だった。球の近くで素振りをし、2回パターヘッドをグリーン面につけた後でスタンスを取ろうとした瞬間、球が10センチほど動いてしまった。「まだアドレスをしていない」と判断した朴は、元の位置にリプレースせず、パーパットを沈めた。

 その行動に、同組についていたボランティアが疑問の声をあげた。それを聞いた同伴競技者のウェイと中田は、朴の状況を詳しく見ていなかったため「終わった後に聞いてみよう」と判断。18番を終え、スコア提出所で競技委員と朴本人に確認したが、問題は解決されず同組3人そろって1番グリーンまで“現場検証”へ行くことになった。

 朝の1番ホールの出来事で、3人の記憶もあいまいなため一瞬は「無罰」で収まりかけたが、中継テレビ局の映像があることが判明。その映像によって、競技委員会は「素振りとパターでグリーン上を軽くたたく行為がボールの動いた原因」と判断。ゴルフ規則18の「一般の罰」、球を元の位置に戻さずにプレーしたとして2罰打が科された。

 本来なら優勝しているはずの選手が「繰り下げ」となって勝利を逃すのは、日本女子ツアーでは史上初めて。朴側は不満を隠せず、スポーツ仲裁裁判所へ提訴する考えも示したようだが、日本女子プロゴルフ協会の湯本弘子競技委員長は「判定を覆すことはない」と断言した。繰り上がりで4年ぶりの優勝が転がり込んだウェイも「うれしいけど、実感はわかなかった」と苦笑い。いずれにしても、後味が良くない開幕2戦目となった。【木村有三】