<女子ゴルフ:サロンパス杯>◇初日◇6日◇茨城・茨城GC西C(6655ヤード、パー72)◇賞金総額1億2000万円(優勝2400万円)

 三塚優子(25=フリー)が、前代未聞の「私的理由」で途中棄権した。8番で遅延プレーによる2罰打を科され、9番終了後に競技委員と話し合った上で「納得がいかない」と、棄権を申し出た。同伴競技者にも告げず、試合放棄という形になり、日本女子プロゴルフ協会は、トーナメントを管轄するTPD委員会で厳重処分を検討する。

 8番で遅延プレーによる2罰打を科された三塚は、9番を終えると「信じられない」「協会は1打の重みが分かっていない」などと興奮気味に訴えながら、クラブハウスに引き揚げてきた。「納得がいかないからやめます」。同伴競技者に棄権を伝えないまま、競技委員らと約1時間の話し合いに入った。その後、棄権理由を「私的理由」と申し出、事実上の「試合放棄」となった。

 三塚と競技委員の話を総合すると、三塚、馬場、キャンベルの組は、前組との間隔が1ホール以上となった7番ティーで、競技委員から「急ぐように」と注意された。走ったが改善せずに、8番パー3では3人のプレー時間を計測することに。三塚はグリーン上で第1、第2パットとも75秒かかり、50センチほどの第3パットも20秒。三塚だけが許容範囲を大きく超えており、2罰打が通告された。8番をトリプルボギーとした三塚は、この時点で5オーバーとなった。

 話し合い後、興奮が収まった三塚は「たまたま計測したときに75秒かかっただけなのに、私にだけペナルティー」と納得いかない様子だった。茨城県生まれで地元開催の上、公式戦で思い入れがあり「1打1打、大切にしたいという思いが強過ぎた」と反省も、棄権については「後悔はないです。時間を気にするようになると駄目だと思った」と「私的理由」を説明。途中で涙ぐむ場面もあった。

 三塚なりの考え方はあったにせよ、ペナルティーに不満だから棄権したと取られる行為だ。日本女子プロ協会副会長の小林法子・大会実行委員長は「ファン、スポンサーに迷惑がかかり、不信感を与える。棄権理由は(協会)43年の中で記憶にない。三塚は協会の財産だからこそ、言葉に責任を持ってほしい」と、自覚のなさを批判。「TPD委員会で問題を話し合う。厳重処分?

 ありうる」。17日の同委員会で、前代未聞の「私的理由棄権」に対し、最悪の場合出場停止を含む処分が、下される可能性を示唆した。