<男子ゴルフ:VanaH杯KBCオーガスタ>◇最終日◇29日◇福岡・芥屋GC(7146ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 谷原秀人(31=フリー)が、大会最多アンダー記録タイの通算22アンダー、266で復活勝利を挙げた。2位から出て8バーディー、2ボギーの66をマークし、立山光広(41)を1打差で振り切った。年間賞金1億円超えを2度達成した実力者が、昨季は未勝利と低迷。しかし、ピンを攻める初心を思い出し、08年9月パナソニックオープン以来、700日ぶりのツアー通算9勝目を飾った。

 会見場に腰を下ろした谷原は開口一番、「いやあ、良かった」と言った。勝てなかったうっぷんを晴らすように攻め抜いた。1番の第2打を1メートルにつけ幸先良くバーディー。いきなり首位に立つと、続く2番も残り168ヤードからピンそば20センチにつけた。終盤、16番のボギーで一時的に立山に並ばれたが、17番で6メートルを放り込んで再び突き放した。

 06年全英オープン5位、日本でも2度年間獲得賞金1億円超えを達成した実力者が、昨季は4年ぶりに勝てなかった。賞金ランクも29位と低迷。「もう勝てないんじゃないか…」。今季も7月までの9試合で10位内は2度だけ。一方で、18歳の石川や24歳の池田は今季も早々と優勝した。「オレも昔は、もっと攻めてたよな。負けちゃいかん。ガンガンやる」。ピンだけを見て攻めた結果、スコアは大会タイの通算22アンダーまで伸びていた。

 表彰式後、元アイドル「ココナッツ娘。」の絢香夫人(28)から、ほおに祝福のキスをされた。疲労回復に効くショウガやニンニクを使った手料理で支えてくれる妻については「何を言っていいか分からない」と照れ笑い。賞金ランク10位に浮上し、次なる照準は念願の賞金王だ。「これで気持ちも楽になる。攻めることを忘れずやっていきたい」。ゴルファーとして脂が乗る31歳の逆襲が、始まりそうだ。【木村有三】