<男子ゴルフ:ブリヂストンオープン>◇最終日◇24日◇千葉・袖ケ浦CC袖ケ浦C(7138ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 池田勇太(24=日清食品)が逆転賞金王に狙いを定めた。10バーディー、ノーボギーで、コースレコードタイとなる自己ベスト62をマークし、大会記録を更新する23アンダー265で、2連覇を飾った。今季最多の3勝目で、賞金ランクは4位に浮上。1位金庚泰(韓国)との差を約3000万円とした。昨季シーズン終盤は右手首のケガに泣き、石川遼との賞金王争いに敗れた。今季は万全の状態。試合後、初めて賞金王の言葉を出し、逆転に自信を漂わせた。

 ゴルフ人生で初だった。大会新の23アンダーで連覇を決めた池田は、はっきりと「賞金王」という言葉を口にした。「賞金王争いの2、3歩、後ろにいたが、ここから本物の強さを見せたい。賞金王を取れるように頑張りたい」。大きなことは言わない硬派な男の言葉だけに、確かな自信が漂った。

 首位片山と2打差で迎えた最終日。5番のチップインによる2個目のバーディーで首位に並び勢いづく。小学生時代から何度も回った地元コース。1ヤード刻みの距離感が体に染みこむ。6番で30センチ、7番で1・5メートル、9番で50センチと、ベタピンにつけバーディー。後半も13番で50センチにつけてバーディーを奪うと、もう独り舞台。「グリーンに乗れば、ある程度(ラインは)わかる」と15番では4メートルの下りスライス、16番では8メートルをねじ込み4連続バーディー。18番もバーディー締めで、自己ベストのコースレコードタイ62。大会新記録で連覇に花を添えた。

 地元千葉で用具契約先のブリヂストン主催のホスト大会。「自分にとっては(海外の)4つのメジャーより大事な大会。正月から勝つと決めている」と誰よりも思いは強い。小学5年だった96年大会、丸山茂樹の連覇を間近で見た。一緒に撮った写真とサイン入りのジャンパーは今も宝物。丸山以来の連覇に「夢のようだな」と充実感に浸った。

 同じ優勝でも、昨年とは状況がまったく違う。大会2週前に右手甲痛を発症。テーピングをしながらの強行出場で、思い入れの強い大会の勝利だけを優先した。石川と賞金王争いを続けていたが、先のことを考える余裕はなかった。その後はケガが悪化し失速。最後まで自分のプレーができないまま、約2500万円差で賞金王を逃した。

 今季は福田努トレーナーを日米ツアーに帯同。今大会も毎朝1時間、13種類のストレッチを敢行。7時間以上の睡眠も確保し、体調には万全を期した。連覇達成のこの日も30分以上のマッサージでケアし、終盤戦を見据えた。「今年はケガとは無縁だと思うし、体はまだまだ元気。残り(5戦)は楽しみだし、賞金王に向け1、2勝はしたい」。1位金との差は約3000万円あるが、今後は高額賞金大会が続く。狙い通りに連覇を実現した「有言実行力」をもってすれば、逆転は十分に可能だ。【田口潤】