<男子ゴルフ:カシオワールドオープン>◇3日目◇27日◇高知・Kochi黒潮CC(7300ヤード、パー72)◇賞金総額2億円(優勝4000万円)

 賞金ランク3位の池田勇太(24=日清食品)が、大逆転賞金王に前進する2週連続Vに王手をかけた。厳しいピン位置に耐えて69をマーク。通算10アンダー206で、宮本勝昌(38)と並んで首位に立った。今季の最終日最終組は4戦4勝、勝率100%。ツアー史上10人目となる年間5勝目を挙げれば、逆転での初賞金王が現実味を帯びてくる。

 わずかだった希望が、大きく広がる首位浮上だ。池田が力強く言った。

 池田

 自分が賞金王に手を伸ばせば届く位置にいる。その意味で明日を大事にしたいという気持ちだけ。

 2週前は賞金ランクで、約6100万円差を追っていた。前週の優勝で4000万円を加算。そして今大会。「意識したことはない。自然体でやれてるんじゃないかな」と本人は言うが、今季は負け知らずの最終日最終組。大逆転劇の予感が満ちてきた。

 「すごかったね。そんなところに切っていいのかなって」。厳しいピン位置と格闘した1日だった。4番で6メートルをねじ込むなど、2メートル前後の難しいラインを沈めてのパーセーブは5回。「優勝を目指す気持ちじゃないですか。そこが表に出てる」。困難を上回るしぶとさを説明した。

 プレー中、コース外に目をやれば、かわいい応援団が手を振っていた。福田キャディーの長男で、わが子のようにかわいがっている樹くん(2)。前日に会場で子ども用ゴルフ「スナッグゴルフ」を初体験。「勇太みたいになりたい!」と池田に宣言してくれていた。うれしかった。

 帰り際、ペナルティー騒動に巻き込まれた金に「キョンテ!」と声を掛け、最終日の健闘を誓い合った。賞金王を争うライバルにも、男らしさをみせる“ゴルフ界の若大将”。この日、その黒色のズボンは、青と銀のラメが入り、太陽の光に燦々(さんさん)と輝いていた。【阿部健吾】