プロゴルファーの桑田泉(41)が、日本プロゴルフ協会(PGA=松井功会長)の10年ティーチングプロアワード最優秀賞を受賞し15日、都内で行われたPGA理事会で表彰された。元プロ野球巨人の桑田真澄氏(野球評論家)の弟で、04年にティーチングプロとしてPGAに入会。3年前から東京・町田市に練習場をつくって指導し、独自に編み出した「クオーター理論」が評価された。表彰状と賞金50万円が、松井会長から授与された。

 桑田は「大変光栄です。名前にひっかけて付けた『クオーター理論』が評価されてうれしい」と、ティーチングプロとしてはPGA最高の賞獲得を喜んだ。

 桑田の「クオーター理論」は、スイング軌道の4分の1にあたるインパクト直前の40センチを最も大事にするという考え方。そのため、3年前に町田市に設立した「ゴルフアカデミー

 イーグル18」では、まず1メートルのパターから練習し、アプローチ、ショットと徐々にフルスイングにしていく。「ゴルフの60%はショートゲーム、40%はパット。フルスイングから教えるのはよくない。練習場で打ちっ放しではうまくならない」という。「ボールを見るな」「ダフれ」「手打ちしろ」など、セオリーと反対の教え方が特徴だ。

 ツアープロを目指したが、アプローチに悩み「いろいろなところで教わったがうまくいかなかった。『ボールをよく見ろ』『フェースに直接当てろ』とか教えられてもだめ。ダフっていいと思ったらうまくいった。やって悪いといわれることをやる方がうまくいく逆転の発想」と、この理論のきっかけを振り返った。

 ゴルフの発展普及のためにアワードを創設して3年目で、初めて「最優秀賞」(過去2年は優秀賞)を授与した松井会長は「道具の進化で教え方も変わってきている。桑田君の理論は独自性があり、言葉の使い方もうまく説得力がある」と絶賛した。

 町田市には1000平方メートルほどの倉庫内に約260平方メートルの人工芝グリーンをつくっている。80歳で一から始めて80を切った人もいるといい、関西方面からもレッスンを受けに来る人も。「何か結果を出さないと認められない。個人でやっているんで、宣伝や広告もしていないのでほとんど口コミ。この賞をいただいて、もっと世間に広まるようにしたい」と、意欲を見せた。【赤坂厚】