<米男子ゴルフ:全英オープン>◇初日◇14日◇英ロイヤル・セントジョージズGC(7211ヤード、パー70)

 【サンドウィッチ=塩畑大輔】池田勇太(25=日清食品)が、3度目の全英で好発進した。先週急きょ出場が決まったメジャーの舞台で、前日替えたばかりのピン型パターを武器に粘りのゴルフをみせ、2バーディー、1ボギーの1アンダー69をマークした。

 しぶといパーセーブに、目の肥えた英国のファンも喝采を送った。15番パー4。「構えた瞬間、入ってくれそうな気がした」。池田は下り4メートルのパーパットを沈めると、大歓声の中で力強く右拳を突き上げた。第1打を右ラフに打ち込み、脱出に1打を要した。しかもピンまで200ヤードも残し、ボギーやむなしの状況。逆境でもぎ取ったパーは、重みが違った。

 「よく我慢できた。いいゴルフだった。こういうコースは我慢比べ。ボギーを打たなければいい。パー、パーと重ねて行こうと思った」。13番パー4でも難しいポットバンカーからの第3打をピン手前30センチに寄せ、パーセーブ。メジャーでも上位の常連である同組のポールター、ジョンソンが難コースに苦しむのを尻目に、最後までアンダーパーをキープした。

 新兵器も粘りのゴルフを後押しした。「ドライバーが全然ダメだったけど、アイアンが良かった」と話すように、15時間かけて削り方を指示しつくったオリジナルアイアン投入で、ショットのキレ、精度が上がった。前日に急きょ新しいパターも採用。使い慣れたマレット型からピン型に変えた。バンカーやアプローチで威力を発揮したウエッジも、シャフトとヘッドの角度の微調整が効いていた。

 6月末時点での世界ランク50位に入れず、当初は出場権を得られなかった。その後欠場者が増え、開幕1週間前の今月7日に、同67位の池田まで出場権が繰り下がってきた。急な出場決定に、予定していた取材やイベントを英国出発までの3日間にねじ込み、何とか消化。同行のスタッフ分まで自分で航空券を手配し、3度目の全英出場に何とか間に合わせた。

 英国到着後は、急な出場に付き合うスタッフを慰労しようと自らスーパーにおもむき、ワインや食材を買ってもてなした。その宴の席では「風とうまく付き合うよ」と健闘を誓った。これまで2度の全英は予選落ち。今年のマスターズでも予選落ちし、ロッカー室で涙した。メジャーの舞台でのリベンジが、同行スタッフやファン、そして自分への最高のねぎらいになる。