<米女子ゴルフ:エビアン・マスターズ>◇3日目◇23日◇フランス、エビアン・マスターズGC(6345ヤード、パー72)

 宮里藍(26=サントリー)が、今季初優勝へ王手をかけた。2位の好位置でスタートし、5バーディー、ボギーなしの67をマーク。203の通算13アンダーで、優勝した昨年8月セーフウェー・クラシック以来17試合ぶりの首位に浮上した。勢いに乗って、2年ぶりの大会制覇へ突き進む。首位から出た佐伯三貴(26)は70で回り、通算11アンダーの2位に後退した。

 思い出の地で、復活を告げる勝利が見えてきた。宮里藍が2位に2打差をつけ、首位に立った。

 「大きなミスがなかったのが、ノーボギーにつながった。このコースで2打差はないに等しい。(明日は)最終日で重圧がかかる中、どう自分をコントロールできるかだけですね」。

 序盤で勢いづいた。2番で5メートル、5番で1メートルを沈めた。9番で2メートルを決めると、観戦に来た父優さんが「よっしゃー」と叫んだ。10番でも3メートルを放り込み、宮里自身が右手を握り締めた。12番では、バンカーから会心のパーセーブ。米ツアーでの首位は優勝した昨年8月セーフウェー・クラシック以来17試合ぶりだ。

 6月までは被災した東北にいいニュースを、と思うあまり、かえって調子を落とした。開幕から優勝争いはおろか、トップ10入りするのもひと苦労の状態だった。メンタルトレーナーや優さんらと対話を重ね「1人でどうにかしようと思っても難しい。自分のゴルフをすることで、いずれいいニュースを日本に送れればいい」とようやく割り切れた。直後の全米女子オープンで6位に入り、浮上の兆しは見え始めていた。

 沖縄から前日の朝に現地に入りした優さんは「テンポが良くなっている。ショットもパットも、ゆっくりとしたいい時のリズムで打てている。スイングの軌道も非常にいい」と目を細めた。ホールアウト後の練習でも、あえて細かい指導はなし。今大会の優勝はもちろん「(来週の)全英女子が楽しみ」とメジャー初制覇への期待も高まらせた。

 2位に佐伯、8位に宮里美と上位に日本勢の顔がある。「毎年この大会は、いつもの米ツアーの優勝争いと違う顔ぶれになるけど、それが日本人ならもっと刺激になる」。ゴルフ界の「なでしこジャパン」を引っ張るリーダーが、完全にプレーの輝きを取り戻した。【塩畑大輔】