<男子ゴルフ:ブリヂストンオープン>◇最終日◇23日◇千葉・袖ケ浦CC袖ケ浦C(7119ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 元賞金王の谷口徹(43=フリー)が、約1年5カ月ぶりの復活優勝を遂げた。首位からスタートし、6バーディー、ノーボギーの65で回り、通算15アンダー269で今季初、ツアー通算17勝目を挙げた。4打差に12人がひしめく混戦を、パーオン率1位の手堅いゴルフで抜け出し、終わってみれば5打差の圧勝。宣言通りの優勝で、健在ぶりを示した。

 17度目の優勝で谷口は初めて弟子たちのウオーターシャワーを浴びた。今大会2位の松村、9月のフジサンケイクラシックで初優勝した諸藤、16歳伊藤、ツアー3勝の武藤。教え子たちの祝福に「待ってなかったら、しばいてた。でも水で優勝の余韻が冷めたわ」と憎まれ口も、その目には光るものがあった。

 4打差に12人がひしめいた最終日。11番からの連続バーディーで後続に3打差をつけて抜け出す。ショットの安定度を示すパーオン率は88・89%の1位。2日連続ノーボギーに「ショットは完璧。ピンにしか飛ばなかった」。終わってみれば弟子で2位の松村に5打差の圧勝。「師匠と弟子はこれだけの差。なめられたらあかんので」と、強さを見せつけた。

 2度の賞金王を獲得。生涯獲得賞金は13億円超。高級外車を手に入れ、美人の奥さんをもらい、かわいい2人の子供にも恵まれた。「いろんなものを得て安心感、満足感があった。昔は毎週優勝と思っていたが、その気持ちは薄れていた」。ハングリー精神を取り戻す、きっかけの1つは弟子の存在だった。

 もともとは一匹おおかみだが、数年前から「若い選手と練習した方が自分も頑張れる」と後輩を教え始めた。懸命に練習し、結果を出す弟子の姿が、かつての自分に重なった。「お互い向上するためにも、まだまだ優勝できる姿を彼らに見せないと」。先月から若いときのように周囲に「勝つ」と公言していた。「本気になれば、まだまだ大丈夫。若い選手の壁になるように頑張る」。43歳の元賞金王は、まだ主役を譲る気はない。【田口潤】

 ◆谷口徹

 たにぐち・とおる。1968年(昭43)2月10日、奈良県生まれ。13歳からゴルフを始め、同大を経て92年プロ転向。98年三菱ギャランで初優勝。以来ツアー通算17勝。02、07年賞金王。家族は亜紀夫人(33)長女菜々子ちゃん(6)次女桃子ちゃん(1)。ベストスコアは61。169センチ、72キロ