<女子ゴルフ:日医工女子オープン>◇初日◇29日◇富山・八尾CC(6502ヤード、パー72)◇賞金総額6000万円(優勝1080万円)

 ツアー2年目の林綾香(25=太子CC)が、自己ベストスコア68で首位と2打差2位発進した。歌手で妹の明日香(23)は、大阪で吉本興業100周年記念公演に出演中。男子プロの弟照大(21)は今週の帯同キャディー。ツアー選手で実質一番背の低い148センチのプロが、妹や弟に負けじとV争いに挑む。2週連続Vのかかる服部真夕(24)も2位。高校2年のアマチュア河野美桜(16)が4位。全美貞(29)が6アンダー、66で首位に立った。

 スライスするのは分かるけど切れる幅が分からない。最終9番、5メートルバーディーパット。林はキャディーの弟照大に「ライン教えて」と聞いた。答えはカップ3個半分。信じて打つとバッチリ決まった。

 「今週は弟の言うことを全部聞こうと決めてます」。弟は昨年、男子プロテストに合格したばかりだが、技術も知識も上と思っている。5バーディー、1ボギーでツアー自己ベストの68は、弟のおかげだった。

 ツアー通算14戦目で最高の2位発進の裏には、妹明日香もいる。シンガー・ソングライター兼女優として、06年にNHKの朝ドラ「芋たこなんきん」で挿入歌を歌い、今は大阪の“笑いの殿堂”なんばグランド花月(NGK)で、吉本興業創業100周年記念公演「吉本百年物語」に出演中だ。2回、見に行った。「電話で『叱られてばっかりや』と泣いてたのに、すごく頑張ってて…」。

 弟と妹に負けられない。ツアー参戦2年目の今季、自分のゴルフを一から作り直している。身長は、ツアー参戦中のプロで実質一番小さい148センチ。体の開かないスイング固めに打ち込み、7月24日からは最終プロテストも待つ。「今まで『ただ球を打って、ただ試合に出て』でしたけど、それじゃダメやなって」。芽生え始めたプロの自覚を胸に、初のV争いだ。【加藤裕一】