<男子ゴルフ:世界選手権シリーズ・キャデラック選手権>◇第3日◇8日◇米フロリダ州ドラル、トランプナショナル・ブルーモンスター(パー72)

 松山英樹(22=LEXUS)が「マナー批判」を乗り越えて、前日の25位から21位に順位を上げた。前日にグリーンを傷つけた行為が、イアン・ポールター(英国)に批判され、米英メディアを巻き込む騒動に。これを受けて松山はスタート前に謝罪し、事態を収束させると、動揺することなく3バーディー、2ボギーの71で回り、強心臓ぶりを見せた。通算4オーバー220で、首位のパトリック・リード(米国)とは8打差としている。

 前日の13番での行為が、この日の朝のドタバタ劇に発展した。松山は2メートルのパーパットを外し、ヘッドでグリーンをたたき、傷つけてしまったようだが、それに気付かずに去った。後続組のポールターが第3ラウンドで松山と同組だと分かると、ツイッターで「こんなひどい行為をした松山と同組だ」「ばかげている」などと批判。これで朝の練習場は両者の反応を見ようと、米英の記者が押し寄せる騒ぎとなったのだ。

 朝になって事態を知った松山は、ポールターをはじめ前日の後続組3人に直接謝罪。この様子がメディアによって写真付きでツイートされ、世界中のニュースになってしまった。

 だが、プレーが始まれば「別に、普通に回っていました」(松山)と騒動を引きずることはなかった。ポールターから「グッド・パット」など声が掛かる場面もあり、険悪なムードはない。松山はショットのさえを取り戻し、6番では残り154ヤードからピンそば1メートルにつけてバーディーとするなど、安定したプレーで71をマークし21位。ポールターは73で37位だった。

 ホールアウト後は米英記者からの取材にも、「自分がやったことなので、とても反省しています」などと神妙に対応した。ポールターも「彼はグッド・ゴルファー」「もう言うことはない」と話すなど、わだかまりはない。昨年全英オープンでも松山はスロープレーを取られながら、逆境をはね返して6位となった。今回も精神的な強さを見せつけた形だ。