<米男子ゴルフ:マスターズ・トーナメント>◇第3日◇12日◇米ジョージア州オーガスタナショナルGC(7435ヤード、パー72)◇賞金総額800万ドル(約8億円)優勝賞金144万ドル(約1億4400万円)

 初出場のジョーダン・スピース(20=米国)が4バーディー、2ボギーの70で回り、通算5アンダー211で首位に立った。優勝すれば、97年に21歳3カ月14日で優勝したタイガー・ウッズ(米国)の最年少記録を17年ぶりに塗り替える。初出場優勝なら79年のファジー・ゼラー(米国)以来となる。ウッズ不在で入場者数の減少やテレビの視聴率低下などが懸念された大会が、新世代が台頭する歴史的な一戦になる可能性が出てきた。

 新世代のスターが、リーダーズボードの頂点に駆け上がった。スピースは14番パー4で、80センチにつけるスーパーショットでバーディー。続く15番パー5では、ティーショットを右に曲げたが、第3打を3メートルにつけてバーディーを挙げた。そしてホールアウト直前、2組後ろのB・ワトソンが16番でボギーを打ち、通算5アンダーで並んだ。史上最年少で、最終日を首位で迎えることになった。

 「終盤に2つ伸ばせたのは幸運。今日はコースがすごく難しかった。とくにグリーンが硬く、どこまでも転がった。イーブンパーなら良いと思って回っていた」。同組の昨年覇者、スコットの存在もかすむ活躍で、大観衆を沸かせ続けた。

 勝てばウッズの記録を抜いて大会史上最年少記録となる。そのウッズは大会直前に腰の手術を受けて欠場を表明。ミケルソン、エルス、ガルシア、ドナルドら人気選手も軒並み予選落ちし、決勝ラウンドは盛り上がりを欠くのではないかと懸念されていた。しかしふたを開ければ、新しい主役が台頭。話題沸騰の中、最終日を迎えることになった。

 スピースは「最終組で最終日は夢がかなった。おそらくこれまでにないほど緊張すると思う」と初々しく話したが、実はこの日スタート直前の練習場で、4打離されていた首位B・ワトソンに「最終日最終組で回りましょう」と声をかけていたという。そして冷静なプレーで、3日連続のアンダーパー。まさに狙い通りに優勝争いの先頭に立った。松山、石川よりもさらに若い才能が、ゴルフを新時代に導こうとしている。【塩畑大輔】

 ◆ジョーダン・スピース

 1993年7月27日、米テキサス州ダラス生まれ。全米ジュニアアマで09、11年とウッズ以来の複数優勝。12年全米オープン21位でローアマ獲得。同年末にプロ転向。昨年7月のジョンディア・クラシックでは3人によるプレーオフを制して1931年以来となる10代のツアー優勝を果たした。13年の米ツアー新人王となり、同年のプレジデンツ杯(米国と世界選抜の対抗戦)に主将推薦で出場。185センチ、84キロ。