【ヒルトンヘッドアイランド(米サウスカロライナ州)14日=塩畑大輔】男子ゴルフの石川遼(22=CASIO)が、17日に米サウスカロライナ州のハーバータウン・ゴルフリンクスで開幕する米ツアー、ヘリテージに向け、会場で9ホールの練習ラウンドを行った。先週末に自転車をこぐことで酸欠状態まで肉体を追い込み、開幕に向けて「超回復」するという新しい調整法で、再スタートの一戦に備える。

 海風が林間に吹き込む、ハーバータウン・ゴルフリンクス。マスターズ最終日翌朝で、まだ人もまばらな練習場で、いち早く石川がショットを打ち始めた。「いやー、さすがに体が重いね」。ドライバー飛距離は好調時より20ヤードも落ちている。しかし、いつにも増して表情が明るいのは、コンディションの悪さが狙い通りのものだからだ。

 先週末、石川はフロリダ州の自宅で、プロ入りして初めてマスターズをテレビで観戦した。そして気持ちがたかぶるままに、米ツアーのアーノルド・パーマー招待の会場となるベイヒルCまで、自転車で練習に向かった。あえてギアを一番軽くし、こいでもこいでも進まない状態にして、全力で10分近くペダルを踏み続けた。ようやく到着すると、酸欠状態になり、バッタリ倒れ込んでしまった。

 「普通の状態の50%も体が動かないような感じになった」と笑う。連戦で調子を上げていくタイプの石川にとって、オフ明けの試合にどうコンディションをつくるかは、課題の1つでもある。同行する坂田トレーナーは「あれだけ体への負荷を上げれば、試合開幕に向けて、好調時よりもさらにコンディションが上がる超回復が期待できると思います」と説明した。

 世界選抜の一員として出場したプレジデンツ杯のダブルス、シングルス戦と圧勝したB・ワトソンが、マスターズで2度目の優勝を飾った。「最終日13番の370ヤードドライブはすごかった」と笑顔で振り返りながらも、当然悔しさはある。「自分はいつかマスターズで勝つために、ゴルフをやっているというのを再確認できました」。プロ初のテレビ観戦も、ムダではなかった。昨年最終日を6位で迎えた得意のコースで、石川が気持ちも新たに再出発する。