<男子ゴルフ・アールズエバーラスティングKBCオーガスタ>◇第3日◇30日◇福岡・芥屋GC(7150ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 6月の日本ツアー選手権で初優勝した竹谷佳孝(34=エー・エム・エス)が5バーディー、1ボギーの4アンダー68を出し、通算9アンダーで首位に2打差の3位につけた。6月の初Vは首位に並んだ李尚熹(22)がルール違反し、プレーオフ回避によるものだっただけに「真の勝利」を目指す。

 17番201ヤードのパー3。6番アイアンの第1打がピン奧6メートルについた。竹谷は、ややフックラインと読み、カップの右ふちを狙って打ったが、不思議な切れ方をして、ボールはカップの左ふちから入っていった。「なんでも入ればいいんです」とノってる男は高麗グリーンでも“いい目”が出る。5個目のバーディー(1ボギー)で68、通算9アンダーで首位を走る金亨成に2打差と迫り、3位で最終日を迎える。

 今季は持ってる男だ。6月の日本ツアー選手権、通算17アンダーで李尚熹と並んでプレーオフへ。ところが李のグリーン上でラインを押さえつけるルール違反があり、プレーオフをせずに竹谷のツアー初優勝が決まった。賞金3000万円もうれしいが、最高だったのは来季から5年のシード権を手に入れたことだ。「戦える場を保証されたのですから」と素直に喜んだ。

 しかし、竹谷はずっとひっかかっている。本当の決着をつけての優勝ではないからだ。「だから、自分の2勝目が真の1勝だと思っています」。

 チャンスを生かしたいワケもある。第1日から、パンツの後ろに喪章をつけている。広島市の土砂災害の被害者への哀悼の意を表してのものだ。東広島市の賀茂CCで6年間、研修生と過ごした。プロゴルファーの原点があるのが広島だ。「勝って、(被災者支援への)次のことを考えたい」。痛めている右手首のテーピングをジッと見つめた。【町野直人】

 ◆竹谷佳孝(たけや・よしたか)1980年(昭55)1月27日、山口県生まれ。九州ゴルフ専門学校をへて、06年プロ転向。昨年のチャレンジ(下部ツアー)ランク2位で今季のツアーシード権を獲得した。慶子夫人と1男1女。169センチ、66キロ。