<米男子ゴルフ:ツアー選手権>◇最終日◇14日◇米ジョージア州イーストレークGC(パー70)◇賞金総額800万ドル(約8億4000万円)優勝144万ドル(約1億5120万円)

 【アトランタ=塩畑大輔】松山英樹(22=LEXUS)は2バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの73で回り、通算6オーバー286の22位で今季米ツアー最終戦を終えた。本格参戦初年度で1勝し、それ以外にもトップ10が3回。日本人では08年今田竜二以来、2人目のプレーオフ最終戦進出を果たし、年間ポイントランク28位に入った。それでも海外メジャー4大会やツアー終盤戦の苦戦から、1年間を「ダメ」と総括。米国のビリー・ホーシェル(27)が同11アンダーで優勝し、プレーオフ2連勝で初の年間王者に輝いた。

 課題は最後まで解決しきれなかった。3番パー4。松山は15メートルのパーパットを2メートルオーバーさせると、ボギーパットも外した。6番パー3では、225ヤードの第1打を、ピン手前5メートルにピタリ。しかし好ショットむなしく、再び3パットでボギー。思わずボールをグリーン右の池に投げ込んだ。

 全29選手中、6人が4日間3パットなし。27人までが3回以内だった今大会で、ただ1人通算8回も3パットした。「これだけいろいろやってみてよくないんで、しばらく練習せず休みたいなとも思う」と、珍しく脱力感をにじませた。

 米ツアー参戦初年度。6月にはメモリアル・トーナメントで初優勝を果たした。それ以外にもトップ10が3回。世界ランクは昨年10月の開幕前は30位だったが、全日程終了時点では20位。ハイレベルな米ツアー参戦後は、いったん順位を落とす“常識”に逆らって、順位を上げてみせた。

 ルーキーながら、誰に恥じることもない立派な成績。それでも松山は「ダメでしょうね」と言い切った。

 松山

 たった4回のトップ10ではうれしくない。体の状態が悪いフェニックスであれだけやれたのに…。今は体調がいいのに成績が出せないもどかしさがある。勝った時は目標が勝つことだったので満足。でもそれからトップ10が1回もない。そういう終わり方で満足できるわけはない。

 昨年末から悪化した左手首痛は、飯田トレーナーの治療で完治した。体力強化にも成功。終盤は7連戦と過酷な日程だったが、マッサージなどケアの時間は、シーズン序盤の半分の1時間で済むまでになった。

 それでも「けがの間、知らぬ間にかばって打つようになっていたかも。治ってもスイングにそういう動きが入っているのがすごくショック」と違和感は残った。パットもスランプに。通年の3パット率も4・17%で全選手中169位。同1位ヤコブセンが1・65%、ツアー平均の3%ちょうどに対し、大きく劣った。

 今季最終戦は、ホーシェルの年間王者で大団円を迎えた。そんな会場の一角で松山は「この試合が節目とは考えもしなかった」とまったく違う空気を醸し出した。「短い期間で思い通りのところまで持って行けるか分からないけど、3週間後の開幕に向かって頑張りたい」。猛獣を思わせる鋭い視線は、早くも来季に向けられた。

 ◆松山の米ツアー初年度スタッツ

 ショット精度が光った。100~125ヤード、150~175ヤードからピンを狙ったショットの精度という2項目で堂々ツアー1位。「パー5での2オン及びパー4での1オン狙いのショット精度」でも1位だった。「スコアに対するショットの貢献度」という項目でも6位。一方でパットは3パット率の高さもあって「スコアに対するパットの貢献度」という項目で156位と低迷した。