<男子ゴルフ:ANAオープン>◇第1日◇18日◇北海道・札幌GC輪厚(7063ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 石川遼(23=CASIO)が、17ホールを5バーディー、2ボギーで終え、3アンダー暫定14位で日没サスペンデッドを迎えた。米ツアー転戦中からの課題だったドライバーが、左右に乱れる場面が続いたが、巧みなリカバーでしのぎ続けた。スタートの10番、後半の5番と会心のドライバーショットもあり、復調への足掛かりを得た。

 後半5番パー5。石川はドライバーを手にティーグラウンドに上がると、2度、3度と素振りを繰り返し、目の色を変えていった。「ああいうホールでいいショットが打てないと世界に通用しない。そう思うと、テンションが上がりますよね」。30ヤード先に右から張り出す松の枝をにらみつけ、そのギリギリを通してショットを放った。右の林を越えた一打は、300ヤードを稼いで右ドッグレッグのフェアウエー中央に着弾した。

 同組の飛ばし屋、岩田らを30ヤードほど後方に置き去りにし、ピンまでは打ち上げを入れても195ヤード。5番アイアンでピン右4メートルのイーグルチャンスにつけた。惜しくもパットは決まらなかったが、楽々とバーディーを挙げた。

 決して会心のゴルフではなかった。米ツアーのプレーオフで頻発したドライバーの右方向へのミスが、この日も出た。それを嫌がって今度は左と、フェアウエーを外す場面が続いた。左右の林から巧みにボールを曲げてリカバーしたが「集中力と気持ちだけでやっているゴルフ。納得はできない内容です」と首を振る。

 それでも「少しは進歩したかな」と話すのは、5番、そしてスタートの10番パー4でほぼ思い通りのドライバーショットが打てたからだ。「先週のマッチプレーでは1度も打てなかった球が、今日は2回も打てた」。特にスタートホールでは気持ちが入りすぎてか、ナイスショットの連発だった直前のショット練習とは、まったく違う球が出ることが多かった。だがこの日は、練習場と同じ理想の球筋でフェアウエー中央をしっかりとらえた。

 パットは好調。グリーンとの相性も良く、3メートル前後のパーパットも面白いように沈めた。7月には長嶋茂雄招待セガサミー杯で2年ぶりのツアー優勝も飾った。ゲンのいい北海道開催、しかもホストプロの一戦で、米ツアーの来季開幕につながる優勝争いを演じる。【塩畑大輔】