<男子ゴルフ・ダンロップフェニックス>◇第2日◇21日◇宮崎・フェニックスCC(7027ヤード、パー71)◇賞金総額2億円(優勝4000万円)

 松山英樹(22=LEXUS)が1イーグル、6バーディー、1ボギーの64をマークし、通算10アンダー132の単独首位に立った。久々に好調さを取り戻したパットでバーディーを量産。最終18番パー5では、もう少しでアルバトロスというスーパーショットも披露した。狙い通り、同組で回った米ツアーでの同世代の好敵手、ジョーダン・スピース(21)と、第3日は同じ最終組に入ることに。世界クラスの優勝争いで、ホスト大会を大いに盛り上げる。

 まさにワールドクラスの空中戦だった。最終18番パー5、ピンまで残り241ヤードの第2打。松山は4番アイアンを鋭く振り抜くと、小揺るぎもしないドシッとしたフィニッシュで、会心のショットを見送った。グリーン上、ピン右手前15ヤードに落ちたボールは、傾斜を転がりカップに向かった。どよめきに押されるように、アルバトロスまでもう1転がりまで迫ったが、惜しくも横10センチに止まった。

 「240ヤード先を、あそこまでイメージしては打てないですよ(笑い)。イーグルパットが打てればいいなくらいの。でもいい感じでショットは打てた」

 しかし“劇場”の幕は、まだ下りなかった。続くスピースも、ほぼ同じ地点からの第2打を、ほぼ同じボール軌道でピン左80センチにつけた。松山は「あそこでやり返してくるなんて、ありえないでしょ!」とやけにうれしそうに驚きを強調した。

 藤本の途中棄権で、後半から2サム状態になった。マスターズでも2位に入った、次世代スターとのガチンコ勝負が始まった。それまでとは見違えるような精度のショットでバーディーを連取するスピースに対し、松山はパットで対抗。11番パー3では8メートルのバーディーパットを沈めて、派手なガッツポーズを決めた。

 12番パー4でも7メートルを沈めて連続バーディー。今年は長くパット不振に悩んできたが、ハイレベルな戦いの中で突如目覚めた。「後半はドライバーもフェアウエーを外したのが1回。ショットとパットがようやくかみ合ってきた」。久々の好感触に、言葉も弾んだ。

 実は第3日の組み合わせまでもが、もくろみ通りだった。18番の第1打前に、スピースと「明日も一緒に回ろう」と話していた。「それで計算をしたんですけど、どうしてもジョーダンにはイーグルが必要だった。取れるのかなと思って見ていたけど、本当に取るとは。すごいなと」。世界クラスの戦いを続けられる喜びに、松山のほおは思わずゆるんでいた。【塩畑大輔】